M&Aに係るトラブル(悪質)
悪質なM&Aが発生しているようです。
例えば、経営者の連帯保証つきの借金がある会社の株式をM&Aで株式を取得し、あえて旧経営者の連帯保証を解除せずに、買い手の新しい経営者が会社を倒産させ、連帯保証のために旧経営者の借金の返済の義務が残っているという悪質な行為です。
中小企業庁では、譲り渡し側の経営者保証を引受けることなく、譲り渡し側の現預金等の資産を移 行し、譲り渡し側の支払いに問題を生じさせ、倒産に至らせるといった行為を複数 回にわたって実施した不適切な譲り受け側の存在が指摘しています。 中小企業庁としては、令和 6 年 8 月 30 日に「中小 M&A ガイドライン(第3 版)」(以下「中小 M&A ガイドライン」という。)を公表し、経営者保証の扱いに 係る対応及び不適切な譲り受け側の排除のための対応等、仲介者・FA に求められ る対応について示し、遵守徹底を求めているところです。
売り手側は、売ってしまえば、お終りではないことを、肝に銘じなければなりません。
慎重な行動が必要です。
相続登記の義務化
相続登記の義務化について、2024年(令和6年)4月1日から不動産の相続登記が義務化されてます。
これは相続が発生した際に、不動産の名義を被相続人(亡くなった人)から相続人に変更する登記手続きを義務化する制度です。
義務化の背景と目的
相続登記がおこなわれないことによる所有者不明の土地は、荒れ地として放置されることが多く、防災上の問題、犯罪の温床となり、地域住民の危険性が高まります。
また、相続の権利者が、土地を売却使用としたり、土地の活用をすることが難しくなります。
義化の目的は、これらの問題を解消し、不動産の適正な管理を促進することにあります。
義務化の内容
- 相続登記の申請期限: 相続を知った日から3年以内に、相続登記を行う必要があります。
- 遺産分割がまとまっていない場合: まだ遺産分割の話し合いがまとまっていない場合でも、「相続人申告登記」を行うことが可能です。この手続きでは、各相続人が単独で相続を申告できますが、これは権利移転の効力は持ちません。
対応すべき事項
- 令和6年4月1日より前に相続した不動産: 令和9年3月31日までに相続登記を完了する必要があります。
- 相続した不動産を把握していない場合: 所有不動産記録証明書を取得して、不動産の有無や量を確認することができます(令和8年4月までに施行)。
- 相続登記を行わないままにしておくと、権利関係が複雑になり、後々の相続が増えたり、土地をすぐに売却できないといったデメリットが生じるため、早めの対応が推奨されています。
相続登記の義務を怠った場合
10万円以下の過料が科せられる可能性があります。これは罰金とは異なり、刑事罰にはなりませんが、違反したことへの行政上のペナルティとして適用されます。
所有不動産記録証明制度(2026年2月から)
相続登記義務化のNEWSを書こうと思って調べてていたのですが、所有不動産記録証明制度が2026年2月からスタートするようですね。まだ、ずいぶん先の話になりますが、とても良い制度ですね。
これまでは、相続の対象となる不動産の調査のために、固定資産税通知書や固定資産名寄帳兼課税台帳から所有不動産を確認していました。家族や近しい親族で被相続人のことをよく知っていれば問題がないのですが、一人暮らしの高齢者が死亡し、子供がいないと、相続人である兄弟が亡くなった方の財産のことを知らないことが多いものです。そうなると家捜しをして、発見された資料から確認をしていくしかありません。固定資産税課税通知書があれば、所有不動産の確認ができます。固定資産税通知書がない場合には調査の手がかりがありません。
所有不動産記録証明制度の概要
相続人が全国の不動産を一括で調査できる制度で、2026年2月に開始されます。この制度では、不動産の登記名義人の住所と氏名を基に、不動産の所有状況をリスト化した「所有不動産記録証明書」を発行し、漏れなく不動産を把握できるよう支援します。これにより、相続登記の手続きが簡素化され、相続対策にも活用できます。
この文言だけからでは、住所変更などをしていて、古い住所のままであれば、この所有不動産記録証明制度では確認できないということになります。
使いやすい制度になれば良いですね。
税務調査の効率化・情報化
税務署が利用するpipitLINQシステムは、NTTデータが提供する預貯金照会業務の電子化サービスで、税務署が税務調査で利用しています。
このシステムは、税務調査において納税者の資産状況を把握し、適正な課税を行うために金融機関から情報を取得する際に役立ちます。従来の手作業による情報照会よりもスピーディで正確なデータ提供が可能となり、税務調査の効率化と透明性の向上を目指しています。
pipitLINQ(ピピットリンク)は、以下の特徴があります。
・預貯金照会のデジタル化:金融機関への照会業務を電子化。
・セキュリティの強化:安全なデータ処理。
・業務の効率化:手作業を削減。
・迅速な対応:応答時間の短縮。
・法令遵守サポート:規制に適合。
・ペーパーレス:書類の削減。
・データの正確性:自動化によるエラー削減。
・リアルタイム監視:状況をリアルタイムで確認。
・使いやすいインターフェース:操作が簡単。
・システム連携:他のシステムとの統合が可能。
事前確定届出給与について
事前確定届出給与とは、役員に支給する給与の金額や支給時期を事前に確定し、税務署に届け出る制度です。これを利用するためには、株主総会決議から1ヶ月以内、または事業年度開始から4ヶ月以内の早い時期に税務署へ届出が必要です。この制度は、役員に支払う給与やボーナスを損金算入するために重要です。届出た内容(支給額や支給時期)を守らない場合、その給与は損金に算入されません。
事前確定届出給与のポイントは以下の通りです:
- 届出期限:事前確定届出給与を採用するには、税務署に対して株主総会で決定された役員報酬の金額や支給時期を事業年度開始から4ヶ月以内、もしくは株主総会決議から1ヶ月以内のいずれか早い方で届け出る必要があります。この期限を守らなければ、報酬が損金として認められなくなるリスクが高まります。
- 届出の内容:事前に届け出た給与額や支給時期は厳守する必要があります。税務署への届出と異なる金額や時期で給与が支払われた場合、税務上その部分の給与は損金算入が認められない可能性があり、法人税の負担が増えることになります。このため、届出後の管理は非常に重要です。
- 変更不可:原則として、届出後に給与の金額や支給時期を変更することはできません。例外的な状況(例えば、役員の職務変更や会社の経営状況の大幅な変化など)がある場合を除き、届出時の計画をそのまま実行しなければなりません。
- 書類の整備:事前確定届出給与を申請する際には、株主総会や取締役会の議事録など、報酬の決定が適切に行われたことを証明するための書類を整備し、これを税務署に提出する必要があります。これらの書類は税務調査などで確認される可能性があるため、確実に保管しておくことが求められます。
- 事前確定届出給与の目的:事前確定届出給与は、役員に支払われる給与やボーナスを計画的に損金として処理することを目的としています。法人税法上、役員に対する支払いは厳密なルールが定められており、これに違反すると損金不算入のリスクが生じます。そのため、企業は適切な手続きを踏み、役員報酬を税務上有利に取り扱うためにこの制度を活用します。
事前確定届け出給与のまとめ
事前確定届出給与は、上記の内容になりますが、顧問税理士としてはあまりやりたくありません。
事前届出による制度であり、届け出た内容と異なる役員報酬を支払うと、ペナルティが大きいからです。
法人税法上損金の額に算入することができなうえ、所得税は役員報酬として課税されることになります。
社会保険料の負担を下げたいと相談がありますが、危ういです。
役員報酬の改定について(経営状況の著しい悪化)
役員報酬
役員報酬とは、企業の取締役や監査役などの役員に対して支払われる報酬を指します。役員報酬には、給与、ボーナス、ストックオプション、退職金などが含まれ、税法上の取り扱いとして、定期同額給与、事前確定届出給与、利益連動給与の3つに分類されます。
中小企業における役員報酬の取り扱いで知っておくべきことは、定期同額給与と事前確定届出給与となります。
定期同額給与の改定
定期同額給与とは、法人税法上、役員に毎月同じ金額を支給する給与のことを指します。
この給与は、事業年度の途中で変更することができず、決められた期間中は一律の金額で支給される必要があります。
改定の時期は、事業年度開始日から3ヶ月以内であれば、理由を問わず変更可能です。
定時の改定以外には、役員の職務内容の変更や経営状況の悪化など、特定の理由が必要です。
経営状況の悪化について
「経営状況の悪化」とは、企業の収益性や財務状況が著しく低下することを指します。この悪化の理由には、売上の急減、取引先の倒産、自然災害、技術革新による市場環境の変化などがあります。これにより、企業は負債が増加し、資金繰りに困難を抱えるようになり、事業の継続が危ぶまれる事態に至ることもあります。
特に定期同額給与の改定において「経営状況の著しい悪化」が認められる条件は、通常の経営活動では対応できないような予測外の状況が発生した場合を指します。たとえば、リーマンショックやパンデミックのような経済的危機、あるいは主要取引先の突然の倒産などが該当します。
このような悪化は、会社のキャッシュフローに大きな影響を与え、社員や役員への給与支払いに支障が出る場合もあります。そのため、役員報酬の減額や見直しを行うことが、企業の存続のためにやむを得ない選択肢となります。経営状況の悪化による給与の改定は、国税庁のガイドラインに基づき厳密に判断されるため、適切な書類の提出や証拠の提示が求められます。
国税庁のガイドラインとしては、役員給与に関するQ&Aを参考にしてください。
ただ、このガイドラインは絶対ではありません。企業の様々な事案毎に、個別具体的な事情があり、国税局不服審判所や裁判所の判例が積み重ねられる必要があるものです。
令和6年分年調ソフト公表(国税庁)
年末調整ソフト(令和6年分)について
国税庁は令和6年分の年末調整に対応するソフトウェアを公表しました。このソフトは、年末調整の計算を簡便化し、正確に処理できるよう設計されています。
主な特徴:
- 簡単な操作:必要な項目を入力するだけで、年末調整の計算が自動で行われます。
- 最新の税制対応:令和6年分の税制改正に対応しており、最新の税額控除や所得控除の計算が可能です。
- データ管理の効率化:従業員の情報を一元管理できるため、複数の従業員の年末調整を迅速に行えます。
推奨ユーザー:
- 企業や事業主の方で、従業員の年末調整を行う担当者
- 税理士や会計事務所などの専門家
ダウンロード方法:
国税庁の公式サイトから、以下のリンクをクリックしてソフトをダウンロードしてください。 年末調整ソフトダウンロードページ
注意点:
- 事前にソフトウェアの動作環境を確認の上、インストールしてください。
- 使用に関する詳細なマニュアルも同ページで入手可能です。
合同会社と株式会社の違い(スタートアップは合同会社がおすすめです)
合同会社 (LLC) と株式会社 (Corporation) は、どちらも日本における法人形態ですが、いくつかの重要な違いがあります。以下にその違いを説明します。
1. 設立コストと手続き
- 合同会社(LLC): 設立コストが低く、手続きも比較的簡単です。定款認証が不要なため、株式会社よりも低コストで設立が可能です。うちの司法書士だと12万円くらい。
- 株式会社(Corporation): 設立には公証人による定款認証が必要で、手続きがやや複雑で設立コストも合同会社より高いです。うちの司法書士だと30万円くらい。
2. 経営権と意思決定
- 合同会社: 出資者(社員)が経営を直接行います。社員全員が経営に関与でき、意思決定は基本的に全員の同意に基づきます。
- 株式会社: 出資者(株主)と経営者(取締役)が分離されています。株主は経営には直接関与せず、取締役が経営を担当します。株主総会で取締役を選任し、重要な事項は取締役会で決定されます。
3. 利益配分
- 合同会社: 利益配分は出資比率に関係なく、社員の合意に基づいて自由に決定できます。
- 株式会社: 基本的に利益配分(配当)は株主の持株比率に応じて行われます。
4. 資金調達
- 合同会社: 株式を発行できないため、外部からの資金調達が難しいです。主に銀行からの借入などに頼ることになります。
株式会社: 株式を発行することで、広範な資金調達が可能です。また、株式上場を通じて、さらなる資金調達の可能性もあります。
スタートアップであるならば、広範囲な資金調達は実質的に考えられないため、合同会社をおすすめします。
5. 社会的信用度
- 合同会社: 合同会社はまだ比較的認知度が低く、特に取引先や投資家から見た場合、株式会社に比べて信用度が低いと見なされることがあります。
株式会社: 一般的に社会的信用度が高く、特に上場している場合、信頼性が高いと評価されます。
つまり、聞いたことがあるということです。
6. 維持コスト
- 合同会社: 役員変更や登記に伴う維持コストが低めです。
- 株式会社: 株主総会や取締役会の開催、役員の登記変更などに維持コストがかかります。
7. 株主や社員の責任
- 合同会社: 社員は有限責任で、出資した額に限って責任を負います。
- 株式会社: 株主も有限責任で、出資額を超えて責任を負うことはありません。
結論
合同会社は、設立コストが低く、少人数の出資者で柔軟に運営したい中小企業やスタートアップに適しています。株式会社に極端なこだわりがない場合には、合同会社による事業を開始をおすすめします。
生命保険の非課税枠|藁信博税理士事務所
国税庁の資料によると、相続税の課税対象となった被相続人のうち、約7割の方が、生命保険の非課税枠を活用できていません。
生命保険の非課税枠とは?
預貯金はその全額が相続税の課税対象になりますが、生命保険の死亡保険金を受け取った場合には、相続人一人につき500万円までの金額は、非課税で、相続税がかかりません。(相続税法第12条)
お父様が亡くなって、お母様と子供が2人いれば、1,500万円の非課税枠があることになります。
相続の準備に生命保険を利用することで、残された方に、より多くの財産を残すことができます。
また、生命保険を活用することで、死亡保険金の受取人をあらかじめ指定することができます。
生命保険を上手に利用したいものですね。
税理士 藁信博(