戸越銀座
人が亡くなったときに必要となる行政・社会的な手続き(税務を除く) —いざというときに慌てないための実務ガイド—
1.導入:いざという時に「何から始めるか」が分からない
ご家族や身近な方が亡くなったとき、多くの人が直面するのが「何を、どこに、いつまでに届け出ればいいのか分からない」という戸惑いです。
税金の申告や相続の話はよく耳にしますが、その前段階として必要となる行政手続きや社会保険・年金・公共料金の対応は、思いのほか煩雑です。
特に、企業経営者やバックオフィスの担当者は、社員や役員のご家族から相談を受けることもあります。制度を正確に理解しておくことは、業務上の支援にも役立ちます。
外注費に対する源泉所得税の取り扱い|実務上の判断ポイントと注意点
はじめに|「外注=源泉不要」と思っていませんか?
近年、中小企業や個人事業者において「業務委託(外注)」という形態での人材活用が一般化しつつあります。
その一方で、外注費にかかる源泉所得税の処理を誤る事例も増加しています。
「個人事業主だから源泉は不要」
「契約書に“業務委託”とあるから大丈夫」
このような判断は、税務リスクにつながる可能性があります。
本記事では、外注先に対する支払いにおける源泉所得税の基本的な考え方と、実務での判断基準、注意点について、制度的根拠とともにわかりやすく解説します。
【令和7年分】国税庁「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア」が公開されました
年末調整|令和7年分
年末調整をもっとスムーズに。国税庁の無償ソフトで控除申告書をかんたん作成。今年(令和7年)は基礎控除の引上げなど所得税の見直しがあり、提出書類や給与計算にも影響します。本記事ではソフトの使い方と改正点、実務の注意点をまとめました。
【注意喚起】賃上げ促進税制の「補填額」に要注意― 名称だけで判断せず、交付要件で確認を ―
1. 結論
賃上げ促進税制の計算において、給与等の支給額から控除すべき「補填額」は、交付要件等で「給与負担の軽減目的」と明示されている補助金・助成金に限られます。
一方で、名称に「賃上げ」「処遇改善」「人材育成」などの文言が含まれていても、目的が異なれば補填額に該当しない場合があります。
したがって、補助金・助成金の名称だけで判断せず、交付要綱・支給決定通知書の内容確認が極めて重要です。
2. 背景と法的根拠
賃上げ促進税制(租税特別措置法第42条の12の5等)では、雇用者給与等支給額を算定する際、
「国又は地方公共団体から交付を受ける補助金等のうち、給与等の支給額の負担を軽減する目的で支給されるものの金額」
を控除する(=補填額として除く)と定められています(措法42の12の5第6項、同施行令29の7)。
しかし「補填額」に該当するかどうかの判断は、補助金の交付目的・交付要件によって個別に異なります。
相続時精算課税を選ぶべきか?―小規模宅地特例との比較で考える
1.相続時精算課税とは
「相続時精算課税(そうぞくじせいさんかぜい)」とは、
60歳以上の父母や祖父母から、18歳以上の子や孫に贈与をした際に選択できる制度です。
この制度を選ぶと、2,500万円までの贈与は非課税(特別控除)となり、
超える部分には一律20%の贈与税がかかります。
ただし、「精算課税」という名のとおり、
その贈与財産は相続時に贈与時の価額で相続財産に加算され、
最終的に相続税を再計算して過不足を精算する仕組みになっています。
したがって、
最低賃金と物価の推移を読み解く──インフレ局面で注目すべき公的支援策とは
最低賃金の引上げが続くなか、企業経営や家計においては「実質的な購買力」がどう変化しているのかが重要なポイントとなっています。
ここでは、過去25年の東京都最低賃金と消費者物価指数(CPI)の推移を分析した上で、国・東京都による主な支援策をご紹介します。
📈 東京都の最低賃金とCPI(物価指数)の推移
下記のグラフは、2000年から2025年までの東京都最低賃金と全国消費者物価指数(CPI)を比較したものです。

インボイス制度の廃止を求める税理士の会
インボイス制度の廃止を求める税理士の会から賛同のお願いがございます。
全政党に、インボイス制度廃止法案の提出を求める要請文を送付しました。
ついては、下記のリンク先より本アクションへの賛同をお願いします。組織・個人を問いません。
後日、賛同者を一覧にし、政党等に提出します。
2割特例・8割控除がなくなる26年9月末までに、インボイスをなくしましょう。
中小企業経営に役立つ「ローカルベンチマーク」と経営の言語化~自己理解と漸進的改善のために~
中小企業経営に役立つ「ローカルベンチマーク」と経営の言語化
~自己理解と漸進的改善のために~
中小企業経営では、日々の業務に追われる中で「自社を客観的に見つめ、強みや課題を整理する時間」を取るのが難しいという声をよく耳にします。こうしたときに有効なのが、 経済産業省が提供する「ローカルベンチマーク(ロカベン)」です。
ロカベンは、いわば「経営の健康診断ツール」。財務と非財務の両面から企業を可視化し、経営者が自社の現状を正しく理解し、改善に向けて一歩を踏み出すための支援ツールです。
【経営管理ビザ改正】外国人起業家の二極化と外国人排除の動き:中国人富裕層は無影響?
2025年度中に予定されている**経営管理ビザの資本金要件引き上げ(500万円→3,000万円)**は、外国人起業家の在り方を大きく変える可能性があります。
さらに、この背景には、参議院選挙での「外国人排除」的な世論や、オーバーツーリズム・外国人犯罪への懸念が政府対応を後押しした構図があります。
しかし、統計上、外国人犯罪の増加は確認されておらず、むしろ減少傾向です。
では、なぜこのような方向性に進んでいるのか、そして外国人起業家にどのような影響が及ぶのかを解説します。
1. 経営管理ビザ資本金要件引き上げの概要
- 現行要件:資本金500万円以上 or 常勤職員2名以上
- 改正後:資本金3,000万円以上(国際基準に合わせる方向性)
- 施行時期:2025年度中に省令改正予定(公布後数ヶ月の準備期間見込み)
2. 外国人起業家の「二極化」と実質的排除
この改正により、外国人起業家は二極化が進むと予想されます。
消費税から見える日本社会のゆがみ――2025年参議院選挙を前に考える
こんにちは。藁総合会計事務所です。
2025年7月20日に投開票を迎える参議院選挙が迫る中、各政党から「消費税はお金持ち優遇」「消費税を減税して手取りを増やす」「給付金で生活支援を」といった政策が掲げられています。
しかし、これらのスローガンの背景にある本質的な問いに、私たちはしっかりと向き合えているでしょうか?
本コラムでは、消費税を起点に、格差・教育・政治参加・文化といった日本社会の構造的な課題を紐解き、今回の選挙を「未来の社会像を選ぶ機会」として捉える視点をお届けします。
■ 消費税は本当に“公平”なのか?
消費税は、一見すると誰にも同じ税率がかかる「公平な税制」に見えます。
しかし、収入の多寡によって実質的な負担率は大きく異なります。生活の大部分を消費に充てる低所得層にとって、消費税は実質的に重くのしかかります。これを「逆進性」と呼びます。
高所得層や法人は、さまざまな節税手段を通じて他の税から逃れる術を持っていますが、消費税だけは逃れにくい。この点において、消費税の増税は「取りやすいところから取る」構造になりがちなのです。