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人が亡くなったときに必要となる行政・社会的な手続き(税務を除く) —いざというときに慌てないための実務ガイド—

1.導入:いざという時に「何から始めるか」が分からない

ご家族や身近な方が亡くなったとき、多くの人が直面するのが「何を、どこに、いつまでに届け出ればいいのか分からない」という戸惑いです。
税金の申告や相続の話はよく耳にしますが、その前段階として必要となる行政手続きや社会保険・年金・公共料金の対応は、思いのほか煩雑です。
特に、企業経営者やバックオフィスの担当者は、社員や役員のご家族から相談を受けることもあります。制度を正確に理解しておくことは、業務上の支援にも役立ちます。


2.制度解説:死亡届を起点とする一連の手続き

人が亡くなったときの最初の手続きは「死亡届」です。これは戸籍法第86条に基づく届出で、死亡の事実を知った日から7日以内に、市区町村役場へ提出する必要があります。
医師が発行する「死亡診断書(または死体検案書)」を添付し、届出を行うと「火葬許可証」や「埋葬許可証」が交付されます。ここから、葬儀・火葬・埋葬の手続きが始まります。

続いて重要なのが、健康保険・年金・各種社会保険の資格喪失届です。

  • 国民健康保険加入者:市区町村役場へ「資格喪失届」+「葬祭費(3~7万円)」の申請

  • 社会保険加入者:勤務先を通じて健康保険組合等へ「埋葬料(5万円)」の請求

  • 年金受給者:年金事務所へ「年金受給権者死亡届」提出、未支給年金の請求手続き

これらはいずれも14日以内が目安とされます。


3.実務上の判断軸:名義・契約・デジタル資産も忘れずに

行政手続きに加えて、実務上は「名義変更・解約・資産確認」も同時並行で行う必要があります。
主な対象は以下の通りです。

区分主な対応先注意点
公共料金・通信電気・ガス・水道・携帯電話・インターネット解約や名義変更の連絡を速やかに
金融機関銀行・証券会社預金は死亡届により凍結されるため、相続手続きが必要
クレジットカード・保険各社窓口自動引落しの停止・保険金請求を忘れずに
デジタル資産スマートフォン・SNS・クラウドサービスログイン情報の管理・削除手続きを家族が行う必要あり

特に近年は、スマートフォン内に契約情報・電子通帳・写真・SNSなど、個人の「デジタル遺産」が集中しており、適切な引き継ぎが課題となっています。


4.よくある誤解と修正

  • 誤解①:「死亡届を出せば年金も自動で止まる」
     → 年金受給権者死亡届を別途、年金事務所へ提出しないと支給が継続されてしまうことがあります。

  • 誤解②:「口座は相続人が自由に引き出せる」
     → 死亡が確認されると銀行は預金口座を凍結します。遺言書や遺産分割協議書に基づいた正式手続きが必要です。

  • 誤解③:「保険会社が自動的に連絡してくれる」
     → 生命保険金や共済金の請求は「申請主義」です。放置すると時効(3年)により受取れない場合もあります。

このような「思い込み」や「連絡漏れ」により、後日トラブルになるケースは少なくありません。


5.現場で役立つチェックポイント

葬儀から1か月以内に整理しておくべき主要な手続きを、以下にまとめます。

時期手続き内容提出先
死亡当日〜7日以内死亡届、火葬許可証の交付市区町村役場
葬儀後〜14日以内健康保険・年金の資格喪失届、葬祭費・埋葬料請求市区町村・年金事務所・勤務先
1か月以内保険金・弔慰金・未支給年金の請求、公共料金・通信の名義変更各契約先
3か月以内銀行・証券・ローン契約などの解約・相続関連手続き各金融機関
随時デジタル資産(スマホ・SNS等)の整理各サービス事業者

必要に応じて、葬儀社や行政書士、社会保険労務士などと連携することで、家族の負担を軽減できます。


6.まとめ:制度理解が「安心」につながる

人が亡くなったときの手続きは、税務や相続以前に、生活上・社会的な整理が欠かせません。
葬儀後の短期間に多くの届出や名義変更を要するため、**「誰が、どの窓口に、いつまでに」**を把握しておくことが、混乱を防ぐ第一歩です。
事前に家族で情報を共有し、必要書類(保険証・年金手帳・通帳・マイナンバーカードなど)をまとめておくことで、万一の際も落ち着いて対応できます。

この記事を書いた人

税理士 藁信博(代表者プロフィール
藁総合会計事務所 代表
東京都品川区戸越2丁目5番3号
ウェルマン戸越3階
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