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はじめに|「外注=源泉不要」と思っていませんか?

近年、中小企業や個人事業者において「業務委託(外注)」という形態での人材活用が一般化しつつあります。
その一方で、外注費にかかる源泉所得税の処理を誤る事例も増加しています。

「個人事業主だから源泉は不要」
「契約書に“業務委託”とあるから大丈夫」
このような判断は、税務リスクにつながる可能性があります

本記事では、外注先に対する支払いにおける源泉所得税の基本的な考え方と、実務での判断基準、注意点について、制度的根拠とともにわかりやすく解説します。


1|源泉所得税とは何か?制度の基本を確認

まず、「源泉所得税」とは、所得税法に基づき、報酬・料金などの支払者が、税金を“あらかじめ天引き”して国に納付する仕組みです。

個人に対して以下のような報酬を支払う場合、所定の税率で源泉徴収が必要になります(所得税法204条・205条)。


■ 主な対象例(外注報酬のうち源泉対象となるもの):

報酬の種類源泉徴収の要否主な税率(2025年現在)
原稿料・講演料必要10.21%
弁護士・税理士・社労士等の報酬必要10.21%(一定条件で5.105%)
デザイン・IT業務などフリーランス委託ケースによる(後述)多くは10.21%
交通費の実費支給(領収書あり)不要-

※ 上記は支払先が個人の場合。法人であれば原則源泉不要です(例外あり)。


2|外注費と給与の違い=源泉の分岐点

源泉徴収の必要性は、「外注費(業務委託)」か「給与(雇用)」かの区分によって決まります。

外注費として処理できる条件は、主に以下の通りです:


✅ 外注費として扱える要件(実態に基づく判断が重要)

  • 業務遂行の指揮命令を受けていない

  • 勤務時間・場所などに拘束されない

  • 納品や成果物の完成をもって報酬が発生する

  • 自己責任・自己裁量で業務を遂行している

  • 他の顧客も抱えている(専属でない)

反対に、業務の指示や拘束、継続的な勤務関係があると判断されると、
“給与”と見なされ、源泉義務・社会保険対応・雇用保険などが必要になります。


3|よくある誤解とその修正

❌ 「契約書に“業務委託”とあるから外注扱いでOK」

→ 契約書の文言よりも、実態で判断されます。
形式だけ業務委託にしていても、実質的に「指揮命令下にある」なら給与扱いです。


❌ 「相手が個人事業主だから源泉不要」

→ 個人事業主でも、「報酬・料金の支払調書」に該当する業種であれば、源泉対象です。
たとえば、フリーのカメラマンやデザイナーなどは、条件によって源泉が必要です。


4|実務対応|確認すべきチェックポイント

実務での対応を誤らないために、以下の視点でチェックをおすすめします:

✅ 支払先は個人か法人か
✅ 支払内容が「役務提供型」の報酬か
✅ 業務の実態(指揮命令・勤務時間の拘束など)はどうか
✅ 契約書に源泉税処理の記載があるか(ただし実態が優先)
✅ 過去に税務署や年金事務所から指摘された経緯があるか


5|源泉所得税の納付期限と事務対応

源泉徴収をした場合、翌月10日までに納付する義務があります(所得税法183条)。

  • 支払が多くなる12月や賞与時期は特に注意

  • e-Tax・ダイレクト納付による対応も可能

  • 源泉徴収簿・支払調書の整備を忘れずに

👉 源泉漏れが発覚した場合、加算税・延滞税・不納付加算税が課される可能性があるため、
「うっかり」では済まされません。


まとめ|「適正な処理」が経営の信頼と継続性を守る

外注先への支払いは、契約や取引の自由度が高い反面、税務リスクの“火種”にもなりやすい領域です。

制度を理解し、実態に即した判断と処理を行うことで、
税務調査でも自信をもって説明できる体制が整います。

「この処理で合っているか分からない」
「過去の契約も見直したほうがいいかも…」

そう感じたときは、どうぞ遠慮なく専門家へご相談ください。