民泊(民泊による所得の課税関係について確認しよう)
■はじめに
ここ数年、空き部屋や駐車スペースのシェア、家事や育児代行等をはじめ、多様な分野で新たなシェアリングエコノミーサービスが登場しています。そのうちの一つとして、「民泊」があります。「民泊」とは、住宅の全部又は一部を活用して、旅行者等に宿泊サービスを提供することを指して、「民泊」ということが一般的です。インターネットを通じて空き室を短期で貸したい人と宿泊を希望する旅行者とをマッチングするビジネスが世界各国で展開されており、急速に増加しています。この民泊については、感染症まん延防止等の公衆衛生の確保や、地域住民等とのトラブル防止に留意したルールづくりはもとより、旅館業法の許可が必要な旅館業に該当するため、一定のルールの下、健全な民泊サービスの普及を図るため、制度も整備されてきました。そして、民泊を営むことで生じる所得は、所得税の課税対象となります。そこで、今回は、この民泊による所得の課税関係について確認してみたいと思います。
■所得区分
「民泊」をしたことで得た所得は、原則として雑所得に区分されます。所得税は、所得区分によって、税金の計算方法が異なるため、どの所得区分になるのかは重要なのです。雑所得になる場合は、収入から必要経費を差し引くことが出来ます。
■必要経費の具体例
では、どのようなものが必要経費にできるのでしょうか。必要経費に出来る費用は、①その収入金額を得るため直接に要した費用②その年の販売費、一般管理費その他民泊で収入を得るために生じた費用です。具体的には、民泊仲介業者に支払う仲介手数料、民泊管理業者等に支払う管理費用や広告宣伝費、水道光熱費、通信費、非常用照明器具の購入費、民泊に利用している家屋の減価償却費、固定資産税などです。これらの費用のうち、民泊仲介業者に支払う仲介手数料や民泊管理業者に支払う管理費用など、民泊を行うためにのみ支払うものについては、それぞれその金額を必要経費にできます。他方、水道光熱費や固定資産税など、業務用部分と生活用部分の費用の両方が含まれているものについては、民泊用の金額のみ必要経費にすることができます。民泊用の金額は、合理的な方法により区分して計算することになります。例えば、民泊に利用している部分の床面積の総床面積に占める割合を基にするなどして計算します。
■その他のシェアリングエコノミー
その他シェアリングエコノミーにはどのようなモノがあるでしょうか。一般社団法人シェアリングエコノミー協会によると、シェアリングエコノミーは取り扱う資産によりスキル・空間・モノ・移動・お金の五つのタイプがあります。それぞれのタイプでは、次のような資産をシェアしています。
①スキルのシェア:介護や育児、知識や技術など
②空間のシェア:駐車場や民泊、スペースや会議室など
③モノのシェア:フリマやオークションでの物品の販売など
④移動のシェア:車やバイク、サイクルなど
⑤お金のシェア:クラウドファンディングや仮想通貨など
原則シェアリングエコノミーで得た収入は所得税の対象となり、原則確定申告が必要です。ただし、会社員で給与所得、退職所得を除いた所得が20万円以下の場合、納める所得税の金額がない場合は確定申告は不要です。また、「③モノのシェア:フリマやオークションでの物品の販売など」は所得税は非課税になることが多いと考えられます。個人が生活で使用していた家具や衣服の売却については、所得税は非課税と規定されているからです。もちろん、販売目的で仕入れて、販売した場合は所得税が課税されます。
遺言書を準備しましょう | 税務・会計の専門家 藁総合会計事務所
■はじめに
日本は、ロシア・中国といった世界で一、二を争う軍事国家に南北を挟まれており、ひとたび戦争が起これば日本は大きな被害を受けることになります。その他にも、大地震や豪雨による水害などの天災で命を落とすこともあるかもしれません。
せっかく築いた自身の財産を家族や家族以外の第三者に残したい。もしくは、慈善団体への寄付などをしたいと思っても、何の準備もしていなければその思いは届きません。
しかし、遺言書さえ残しておけば、死後もその思いは大切な人に届くのです。
■遺言書について
遺言書は、十五歳以上なら親の許可なしで作ることができます。
また、遺言者は、その財産の全部又は一部を処分することができる(民法964)とされており、遺留分(兄弟姉妹以外の法定相続人が有する最低限度の財産を受ける権利をいう)さえ侵害しなければ、遺言は財産承継において強力な手段となります。
■遺言書を作ってみましょう
①自分の財産を書き出してみましょう。
代表的な財産として預貯金、生命保険金、不動産、家財道具、有価証券や金などがあります。一見無価値そうなものも書いてみましょう。例えば、全巻揃えた小説とか、大好きなペットなど、渡したいと思う人を思い浮かべながら書いてみましょう。
できれば、その気持ちも一緒に書いておきましょう。これを「付言事項」といいます。
もちろん付言事項は、書かなくても問題ありませんが自分からの最後の手紙だと思って書いておくと、遺族に自分の思いを知ってもらえることができますし、財産分割の内容を納得してもらうことができます。
②自分がなくなった後に行ってほしいことを書いておきましょう。
家賃や公共料金、その他自動引き落としされているサービスなどは、自分がなくなった後も支払い続ける事態になりかねません。この様なときは、自分がどんなサービスを使っていたか、IDやパスワードなどの個人情報などをどこかに保存して、その場所やそれらをどうして欲しいのかを遺言書に書いておきましょう。
③このままでは、遺言書としての効力がなく、ただの連絡事項となってしまいます。
そうならない為に、法的効力のある遺言書として、民法では、自筆証書、公正証書、秘密証書の3つの方法を定めています。
■法的効力のある遺言書とは
①自筆証書遺言
遺言者が、遺言の全文、日付、氏名を自筆し、捺印した遺言を言います。なお、自筆証書遺言には検認といって家庭裁判所の確認が必要です。遺言書を見つけたら開封せずに家庭裁判所へ持っていき検認してもらいましょう。
②公正証書遺言
公証人が筆記した遺言書に、遺言者、公証人及び2人以上の証人が内容を承認の上、署名・捺印した遺言を言います。なお、証人は行政書士などの専門家にお願いするか、公証役場で有償の証人を手配できます。
③秘密証書遺言
遺言者が遺言書に署名・捺印のうえ封印し、封紙に公証人及び2人以上の証人が署名・捺印等をした遺言を言います。現在では、あまり利用される方は少ないようです。
④メリット・デメリット
費用も掛からないのに法的効力がある自筆証書遺言ですが、書類に不備があれば無効になってしまいます。さらに紛失、第三者による改ざん・隠匿、あるいは遺言書の不発見などの可能性があります。その点、公正証書遺言は、このような心配はありませんし、家庭裁判所の検認も不要です。何より、専門家が遺言者の希望に添った文章を作ってくれますので、文章を考えなくてよいのは安心です。
■最後に
相続を争続にしないためにも、遺言書は非常に有用です。「縁起でもない」と思わずに、早めの準備をお勧めします
家族信託とは?-認知症等になり判断能力を失う前に備える_
■はじめに
「家族信託」について聞いたことはありますか?超高齢社会の日本において、誰もが認知症になり、判断能力を失う可能性が有ります。自分は大丈夫、自分の親は大丈夫。そんなことはありません。認知症になって判断能力を失った場合、法律行為ができなくなります。例えば、親が認知症になって判断能力を失った場合、子が、親の自宅を売却して、そのお金で施設にいれようとしても子が親所有の不動産を売却することはできません。親の預金口座にたくさんお金が入っていたとしても、その口座を引き落とし口座にするような契約をすることもできません。元気なうちに、今後のことを考えて、自分の財産の管理を信頼できる家族や友人などに託すことができるのが「家族信託」です。
■家族信託
認知症等により判断能力を失ってしまった場合、今までは「成年後見制度」を利用し、財産管理や財産処分をするというのが選択肢の中心でした。しかし、いわゆる法定後見制度を利用できるのは、自身の判断能力等が減退してからであって、元気なうちから利用することができません。「家族信託」は財産を有する者が判断能力が有るうちに、その全部または一部を信頼できる相手に対して、その管理を委ねる財産管理の仕組みです。「家族信託」は委託者が財産の管理を受託者に委ねる仕組みであるため、財産を託した人がその後に判断能力を喪失した場合であっても、その信託契約に基づいて受託者が有効な法律行為をすることができます。これが「家族信託」の重要なポイントです。例えば、実家に住んでいる高齢の親が「自分が元気なうちは自宅に住み続けたいが、将来、不自由が生じてきたら自宅を売却して施設に入りたい。」という希望を持っていた時、親が子に実家を信託して、その信託契約の中で実家の売却権限まで定めておけば、子どもは親が判断能力を失った後でも、「受託者」の立場で、自己の判断により、単独で不動産を売却することができます。信託しないで、親が判断能力を失った場合、法律行為ができませんので、自己の財産であっても自由に処分等をすることが難しくなります。「家族信託」は、このいわゆる「認知症等に伴う財産凍結リスク」に対して備えることができるのです。
■遺言との違い
例えば前述のケースで、親が元気なうちに、「全財産は○○に渡す」というような遺言を書いていたとしても、遺言の効力は相続時に発生するので、親が生存中はたとえ親が認知症で判断能力を失っていても、子は親の財産を勝手に処分することはできず、親の希望を叶えることはできません。このような場合は成年後見を利用することも想定されますが、成年後見は本人の財産を守るための仕組みであり、円滑な承継・管理のための仕組みではないため、目的を達成できない場合もあります。居住用不動産の処分については裁判所の許可が必要となる点も注意が必要です。
■不動産の共有相続の紛争予防に活用
共有不動産については、共同相続人全員が協力しないと処分できません。したがって複数の相続人が不動産を共同相続してしまうと、管理処分権の問題が生じる可能性があります。例えば、3人兄弟で親から相続した不動産をそれぞれ3分の1ずつの名義で共有していますが、3人とも高齢になっています。兄弟の誰かが認知症になって判断能力を失うと、成年後見人を選ばなければ不動産の活用ができなくなります。このような場合に、3人とも元気なうちに例えば、長男の子(甥)に自己の持分をそれぞれ信託することで管理を一本化し、他方その不動産から収益が生じたり、売却して利益が出たりしたときには3等分して渡すと言うようなことが可能となります。共有者としての権利や財産的価値は平等にしたまま、家族信託によって管理処分権限を信頼できる子(甥)にに集約しておくことで、いわゆる「不動産の塩漬け」を防止することができます。
■家族信託のデメリット
家族信託では、財産を適切に管理・処分できて、かつ信頼できる家族(親族)がいるかどうかが大きなポイントとなります。信頼されて任されたにもかかわらず、財産管理がずさんな場合には、相続人の中から不満の声が上がってトラブルになる可能性もあります。
M&A支援策 | 税務・会計の専門家 藁総合会計事務所
中小企業における経営者の高齢化は、経済の活力、雇用機会の減少といった側面から、中小企業庁では支援策を講じています。
どんな中小企業においても、一度、検討してみる必要があります。
M&A時の費用負担軽減
M&A時の専門家活用を支援(仲介手数料、DD費用等)
M&A後に取得するもので、M&Aの効果を高める設備の取得(D類型)による10%税額控除、即時償却による税額軽減
M&A後のリスクへの備え
M&A実施時に、投資額の70%以下の金額を損金算入、据え置き期間5年後に5年間で戻し入れ
申請の流れ
基本合意→経営力向上計画申請→担当官庁による認定→最終合意→株式の譲渡→担当官庁へのM&A報告確認書の提出→設備取得→税務申告(税額控除or即時償却)
要件を満たすM&Aでは、登録免許税・不動産取得税の軽減措置があります。
相続時精算課税制度の見直し(税制改正大綱)
与党の税制改正大綱が公表されました。
「相続時精算課税適用者が特定贈与者から贈与により取得した財産にかかるその年分の贈与税については、現行の基礎控除とは別途、課税価格から基礎控除110万円を控除できることとするとともに、特定贈与者の死亡にかかる相続税の課税価格に加算等される当該特定贈与者から贈与により取得した財産の価格は、上記の控除をした後の残額とする。」と記載があります。令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産にかかる相続税または贈与税について適用する。
つまり、相続時精算課税の適用を受けた場合には、生前贈与した財産の価格から110万円を控除して贈与税を納税し、この110万は相続税の課税対象にならないということになります。暦年贈与より相続時精算課税の方がお得になることがありますね。
上記内容は、「令和5年度税制改正大綱」(令和4年12月16日与党公表)に基づき、情報の提供を目的として、概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定さ れる場合もありますのでご留意ください。
相続前贈与の加算7年に伸びます。(税制改正大綱)
与党の税制改正大綱が公表されました。
「相続又は遺贈により財産を取得した者が、当該相続の開始前7年以内(現行3年以内)に当該相続にかかる被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合には、当該増よりにより取得した財産の価格(当該財産のうち当該相続の開始前3年以内に贈与により取得した財産以外の財産については、当該財産の価格の合計額から100万円を控除した残額)を相続税の課税価格に加算する。」と記載があります。この改正は、6年1月1日以後に贈与により取得する財産にかかる相続税について適用されます。
つまり以下の算式になります。
改正前 相続開始時の遺産+①相続開始前3年間の財産の価格
改正後 相続開始時の遺産+①相続開始前3年間の財産の価格+(②相続開始前7年間の財産の価格(①を除く)- 100万円)
負担が増えますね。
上記内容は、「令和5年度税制改正大綱」(令和4年12月16日与党公表)に基づき、情報の提供を目的として、概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定さ れる場合もありますのでご留意ください。
第15話 確定申告は期限内に忘れずに
消費税増税の対応にてんやわんやし、あっという間に年末を迎えた。次は確定申告準備に追われることに...
消費税増税に伴い、経理対応に追われたゆうこ。
請求書作成のソフトウェアはアップデートしていたが、納期の日付など自分の入力ミスで消費税の計算を誤ることも・・・。確認をきちんとしなくてはと反省し、再度気を引き締めていた。
個人事業主であるゆうこは、12月が決算月となる。請け負っている仕事の忙しさや年末の事務的な仕事に加え、決算前の売掛金や買掛金の残高確認なども行っており、12月は目が回るような忙しい日々を送った。
なんとか年内にするべき仕事を終え、無事に新年を迎えた。つかの間の年末年始休暇は自宅でぐうたら過ごし、休みを満喫する。
「頑張った。私は頑張ったよ・・・。もうしばらく何もしたくない」
そんなことをこぼしていると、
「何言ってるの。この年末年始の休みの間に、食べて寝る以外に大して何もしていないじゃない」
母にちくりと言われてしまい肩身がせまい。実家暮らしのため家事は母に任せきりだったゆうこ。いい歳した娘が仕事のこと以外はろくにしていないため、娘は母に頭が上がらない。
「おっしゃるとおりです、すみません~。私の分まで家事をしていただいて助かっています、感謝しています~」
「はいはい。まぁ確かに年末は忙しかったようね。」
母とテレビのニュース番組を観ていると、著名人の確定申告の無申告や所得隠しの話題があがっていた。
「あらあら大変ね。あなたはちゃんと確定申告の準備はしているの?母さん、あなたのこんなニュース見たくないわよ」
「私はこんな話題になるほどの収入はないよ。でもそうこうしているとあっという間に日が過ぎていくだろうから、早め早めに準備しないとな」
ゆうこは早めに確定申告の準備に取りかかることにした。
確定申告とは
1月1日から12月31日までの1年間に生じた全ての所得の金額とそれに対する所得税等の額を計算し確定申告書を提出して、源泉徴収された税金や予定納税で納めた税金などとの過不足を精算する手続です。
個人事業主の場合、売上や経費などの収支や控除額について、個人事業主自身が計算・申告する必要があります。
多くのサラリーマンの場合は、会社で行う年末調整により所得税が精算されるため、確定申告は不要です。
しかし、サラリーマンでも確定申告が必要な場合があります。
①給与の年間収入金額が2千万円を超える人
②1か所から給与の支払いを受けている人で、給与所得および退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超えること
→簡単に言うと給与以外の副業の所得が20万円を超える人です。
③2か所以上から給与の支払を受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
→アルバイトを掛け持ちしている等、2か所以上から給与をもらっていて、年末調整をしなかった方の収入が20万円を超える人です。
これらの他にもいくつか確定申告が必要な場合があり、それらのいずれかに当てはまる場合は、原則として確定申告しなければなりません。
国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm
所得の種類
所得には以下の種類があります。利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得の10種類です。
今回は個人事業主の所得である事業所得について取り上げます。
事業所得とは
農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。
事業所得の金額は、次のように計算します。
総収入金額ー必要経費=事業所得の金額
総収入金額とは
それぞれの事業から生ずる売上金額のほかに、次のようなものも含まれます。
①金銭以外の物や権利その他の経済的利益の価額
②商品を自家用に消費した場合や贈与した場合のその商品の価額
③商品などの棚卸資産について損失を受けたことにより支払を受ける保険金や損害賠償金等
④空箱や作業くずなどの売却代金
⑤仕入割引やリベート収入
必要経費とは
収入を得るために直接必要な売上原価や販売費、管理費その他費用のことをいいます。例えば商品の仕入や従業員の給与、家賃、減価償却費などです。
必要経費が多ければ税金が安くなります。
家事上の経費は必要経費になりませんが、家事上の経費に関連する経費のうち、事業所得を生ずべき業務の遂行上必要である部分を明らかに区分することができる場合のその部分に相当する経費の金額は必要経費となります。
例えば事務所を自宅にしていた場合、事業用部分と家事用部分で按分します。事業用が50%だった場合、家賃1ヶ月分×50%を家賃として計上します。
国税庁 No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1350.htm
2022年分の確定申告の申告期限は2023年3月15日(水)です。余裕を持って準備を行い、期限内に申告できるようにしましょう。
申告期限を過ぎてから申告すると、「加算税」や「延滞税」が課される場合がありますのでご注意ください。
物語の中ではシンプルに描いていますが、 実務では税務・会計・社会保険が複雑に絡み合うケースも少なくありません。
起業初期や事業の転換期では、 「あとから修正する」よりも、 早い段階で一度整理しておくことが結果的に負担を減らすこともあります。
第14話 2019年消費税増税
仕事が着々と増え、ついに外国人雇用も考えてみている。そんな中、消費税増税が迫っていた。
人手不足の時代。ゆうこは日本人に限らず外国人はどうだろうと考えていた。そんな中、2019年10月から消費税10%に引き上げ。軽減税率制度が開始される。
「もうすぐ9月か。なんだかあっという間に夏が過ぎていってしまった。10月から消費税増税だ!最近テレビでも軽減税率対応レジの補助金のCMを見たし、そろそろ準備しないとな~。」
ゆうこは何を準備しないといけないかを調べ始めた。
「私の事業は軽減税率の対象になるものはないから請求書の税率は10%よね。請求書の書き方も変わるんだ。10%のみの場合は現在のままでもいいのね。そういえば契約日が9月だけど納品は10月以降の消費税は8%?10%?」
A.10%。納品日で消費税を決める。契約日が増税前の9月でも納品が10月以降なら消費税は10%。
「なるほど。これから10月納品の契約があるから気をつけないと。請求書作成のソフトウェアはアップデートしたから準備はオッケー。」
そして迎えた10月。お昼を買いにイートインスペースがあるパン屋へ。
店員「いらっしゃいませ~。店内で召し上がりますか?お持ち帰りですか?」
これは!持ち帰りだと8%。店内だと外食扱いで10%という選択肢だ。さあ、ゆうこどうする?
「持ち帰ります。」
店員「540円になります。ありがとうございました~。」
レシートを確認するゆうこ。
「お~。ちゃんと軽減税率対象品目と書かれている!10円の節約に成功だ。」
こうして消費税増税を実感したゆうこ。しばらくは持ち帰りの時に軽減税率になっているか確認してしまいそうだ。
請求書・領収書の書き方、軽減税率対象品目について軽く再確認しておきましょう。詳しい消費税増税についてはway to the top2018年12月号をご覧ください。
請求書・領収書の書き方
2019年10月から請求書等保存方式から区分記載請求書保存方式になります。
【現行の記載項目】
・発行者の氏名または名称
・取引年月日
・取引内容
・金額
・交付を受ける者の氏名または名称
【区分記載請求書等保存方式追加記載項目】
①軽減税率の対象品目である旨
②税率ごとに合計した対価の額
追加記載についてそれぞれ説明していきます。
①軽減税率の対象品目である旨
8%の商品名の横に※などの記号を記載し、「※は軽減税率の対象品目」と記号が軽減税率対象品目であることを明らかにします。
②税率ごとに合計した対価の額
8%と10%それぞれの税込みの合計を記載します。
書き方まとめ(太文字が追加記載)
請求書または領収書
株式会社○×会社御中
2019年10月31日
お肉※ 500円
野菜※ 700円
ビール 500円
合計 1846円
(8%対象 1296円)
(10%対象 550円)
※は軽減税率の対象品目
株式会社△△商店
10%のみの場合は現行のままで追加で記載する必要はありません。他にも軽減税率(8%)と標準税率(10%)に分けて請求書を作成する方法などがあります。
また①②の記載がない請求書・領収書を受け取った場合、取引の事実に基づいて追記することができます。
区分記載請求書等保存方式は2023年9月30日までです。同年10月1日からは適格請求書等保存方式(インボイス方式)になります。その説明はまた後日にしましょう。
軽減税率対象品目(8%)
飲食料品、テイクアウト、宅配
標準税率(10%)
酒類、外食、ケータリング
第13話 外国人雇用を考える
仕事が着々と増え、人手が不足してきたので求人をかけるがなかなか人が集まらない。日本人に限らず外国人雇用も考えてみよう
大きい案件が一段落ついたゆうこ。顧客からの紹介等もあり、仕事が着々と増えてきた。従業員を一人雇っているものの、それでも少々きつくなってきた。開業時の細々と仕事をしていた頃を思い出せばうれしい悲鳴である。
「もう一人、人を雇おうかなぁ」
さて、人を雇うならばどうしようか。今雇っている従業員は同業の知人から紹介してもらったのだが、開業して間もない個人事業の元で働いてくれる、条件に合う人材を見つけるのにはなかなか苦労した。
とりあえず知人への声がけと、ハローワークでの求人を活用することにしてみた。
そして一ヶ月後。求人の応募は全く来ない。知人をあたるも条件が合う人がおらず、唯一検討すると言ってくれた人がいたが、その後より良い条件の他社に採用が決まったからと断られてしまった。
通常業務と並行して人材探しにも労力を費やしていたがなかなか苦労は報われず、意気消沈するゆうこ。するとそれを見かねた現在ゆうこの元で働いてくれている唯一の従業員・橋本さんが息抜きに一緒に出かけようと誘ってくれた。橋本さんは気遣いのできる人で、仕事でもいろいろと細やかなフォローをしてくれていて、ずぼらなゆうこは大変助かっていた。
詳しい行き先を聞かずについて行くと、着いたのは某イベント会場。
「なになに、何のイベント?」
「これはKーPOPのダンスカバーイベントです!友人が出演するので観にこようと思っていたのですが、一緒に行くのに予定の合う人が見つかっていなくて、ゆうこさんの息抜きにもちょうどいいかなと思って連れてきちゃいました」
KーPOP大好きな橋本さん。人を気遣う振る舞いをしながらも自分の目的を果たすちゃっかり者である。ゆうこは最近橋本さんの影響でKーPOPにジワジワとはまってきているところだった。
そのイベントには人が多く集まっており、参加者・観覧者は日本人や本場韓国の人たちだけでなく、諸外国の人たちもいたりと様々であった。
「そういえば前に勤めていた会社にも外国人エンジニアがいたな。優秀な人たちだったな~」
以前同じ会社で働いていた人たちを思い出した。
「うちの求人は日本人だけと決めていたわけではないけど、ハローワークの求人も知り合いをあたるのも無意識に日本人しか想定していなかったな」
この一ヶ月の人材探しを振り返るゆうこ。
「よし、もっと視野を広げて、外国人でも働いてくれる人を探してみよう!そうと決まったら・・・どうしたらいいんだろう」
「外国人労働者は在留資格の問題などもありますからね」
「じゃあまずは、外国人を雇用するにはどうしたらいいのか、相談しに行こうかな」
こうしてゆうこは外国人雇用について検討し始めたのだった。
外国人雇用について相談する
1.外国人雇用管理アドバイザー
厚生労働省が各都道府県に設置しています。「外国人労働者の雇用・労働条件に関する指針」に基づき事業主に向けての指導・援助を行います。相談の申込みは事業所を管轄するハローワークにします。アドバイザーを派遣またはハローワークにて相談を実施しています。相談料は無料です。各都道府県労働局及びハローワークでは、個別相談の他にセミナーなども開催しているので、まずは問い合わせをしてみると良いでしょう。
厚生労働省 外国人雇用管理アドバイザー
https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/anteikyoku/koyoukanri/index.htm
2.外国人雇用サービスセンター等
東京、名古屋、大阪、福岡を拠点に、外国人留学生や在留資格を所持して仕事を探している外国人の方を支援しています。
就職に向けた各種情報を提供するとともに、入学後の早い段階からの就職支援、インターンシッププログラムの提供、就職面接会、セミナー等を実施しています。また、雇用管理に関する専門的な相談・援助を無料で受けることもできます。
他、行政書士等専門家による各相談窓口もあります。
外国人は日本人とは異なり誰でも雇用できるわけではなく、また、どのような仕事にでも就かせられるわけでもありません。
雇用できる外国人と就かせられる仕事は外国人ごとの在留資格により厳格に定められています。
定められている以外の仕事をしていたり、就労時間の範囲を超えて仕事をしている場合や不法滞在の方を雇用している場合は、不法就労助長の処罰対象になります。そうならないためにも事業主は在留資格と在留期間の確認、管理をしっかりと行いましょう。
税理士 藁信博(