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所得税減額承認申請

Title

📝 所得税の予定納税額 減額承認申請のご案内

事業の業績不振や災害、扶養親族の増加などにより、当年の所得見込みが減少する場合――
**「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額承認申請」**が可能です。

✔️ どんなときに利用できる?

以下のいずれかに該当する場合に申請できます(国税庁)

  • 個人事業を廃業・休業・失業した
  • 業績不振などにより前年より所得が減少する見込み
  • 災害・盗難・横領による損害がある
  • 所得控除・税額控除が前年より増え、結果所得税が減る見込み
  • その他、特殊な事情がある場合

 

🗓 提出期限はいつ?

  • 第1期分+第2期分同時申請:7月15日まで(令和7年は7/15)
  • 第2期分のみ:11月15日まで
     ※ 土日祝日の場合は翌営業日。

✍️ 申請方法

  1. 申請書を入手
     国税庁のPDFをダウンロード、あるいは税務署窓口で取得。
  2. 必要事項を記入
     前年の予定納税額・当年の見込み所得を記入し、減額後の金額を明記。
  3. 添付書類を準備
     例:6月末時点の損益試算表、帳簿、領収書、災害証明など
  4. 税務署へ提出
     e‑Taxまたは郵送、窓口でも可。e‑Tax利用時に「電子通知希望」にチェックすると、承認通知もe‑Tax内で受け取れます

🔔 申請後の流れ

提出後、税務署から「承認」「一部承認」「却下」のいずれかの通知が届きます(紙またはe‑Tax
承認された額が新たな予定納税額として適用されます。

ℹ️ 注意点

  • 証拠書類(帳簿・領収書など)は十分に準備しましょう
  • 納税資金に余裕があれば、敢えて申請せずに通常支払い→確定申告での還付も一案。還付加算金が付くメリットがあります
  • 定額減税を受けるなら、申請することで本人だけでなく扶養家族分も自動的に控除対象に。

📌 まとめ

この制度は「予定納税額が過大」「所得見込みが減って納税が困難」といった実態に合わせた制度です。
期限厳守・証拠書類の準備・必要な記載を整えて、スムーズに申請しましょう!

※ 納税者本人で手続きが難しい場合は、お気軽に当事務所までお問い合わせください
e‑Taxの利用・書類整備・税務署対応など、プロが全面サポートいたします。

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税理士 藁信博(代表者プロフィール
藁総合会計事務所 代表
東京都品川区戸越2丁目5番3号
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所得税の季節です。申告忘れがないようにしてください。

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所得税の申告期間が迫ってきました。

各税金の申告期間は以下の通りです。納税は申告期間の最終日までとなります。
申告期間中に申告をしないと、様々なペナルティを受けることになります。
    所得税 令和7年2月17日(月)~3月17日(月)
    贈与税 令和7年2月03日(月)~3月17日(月)
    消費税 令和7年1月    ~3月31日(月)

振替納税を選択している場合の振替日は以下の通りです。
引き落とし不能とならないように前日には残高の確認をしてください。
    所得税 令和7年4月23日(水)
    消費税 令和7年4月30日(水)

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令和6年路線価は、正誤表を必ず確認して!

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令和6年路線価図は、必ず正誤表を確認してください。

東京局の荏原税務署管内と目黒税務署管内の一部の地域の「路線価図等の正誤表」(令和6年12月12日)が掲載されています。

令和7年1月15日(水)現在、路線価図は訂正されていないので、必ず正誤表を確認する必要があります。

 

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税理士 藁信博(代表者プロフィール
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受験資格の緩和による税理士試験の概観

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令和2年(第70回)から令和6年(第74回)に至る税理士試験の推移を振り返ると、受験者数や合格率、受験生属性の変化が相互に影響し合いながら、大きく様変わりしていることがうかがえます。令和2年から令和4年までは合格率が概ね15~19%台で安定的に推移していましたが、令和5年に全体合格率が21.7%と高水準に達し、翌令和6年には16.6%まで急低下するという短期的な変動が顕著です。科目別では、令和5年に財務諸表論の合格率が約28%と極端に高かったのに対し、令和6年には8%まで落ち込むなど、年度間での難易度調整や出題傾向の違いが合格率に大きく影響しているようです。

一方、受験資格の緩和による大学生(「大学在学中」区分)の増加は、ここ数年の最も大きなトピックといえます。従来は一定の履修科目・単位が必要だったため、在学中の受験は少数派でした。しかし、令和5年以降においては「大学在学中」受験者が2,000名を超え、令和6年には2,461名まで増加するなど、若年層が早期から科目合格を積み重ねられる環境が整いつつあります。合格率の面でも、令和5年には30%超、令和6年はやや下がったものの26%台と、依然として全体平均を大きく上回る数値を保っており、若手の参入が業界に与える影響は無視できないレベルに達しています。

こうした若手の増加は、税理士業界にいくつかのポジティブなインパクトをもたらすと考えられます。まず、人材不足や高齢化が指摘されてきた業界において、新卒や20代前半の人材が増えることで組織の新陳代謝が進み、業務効率化やITリテラシーの向上が期待できます。次に、在学中に簿記論・財務諸表論などの会計系科目を合格してしまうことで、就職後の負担が軽減され、早い段階で法人税法や相続税法といった難関科目の学習に集中できるなど、合格までの道のりがより短期化しやすくなる点も挙げられます。平均10年程度かかるといわれていた5科目合格のスパンが短くなることで、モチベーション維持も容易になり、最終的に業界に定着する人材が増える可能性が高まるでしょう。

さらに、若手が持つITやクラウド会計ソフトへの親和性は、従来の記帳代行・申告書作成といった“労働集約型”の業務だけでなく、コンサルティングや経営支援など“付加価値の高い業務領域”への進出を後押しする契機にもなります。大学生のうちに会計知識を固めつつ、他分野(情報システムや国際ビジネス、マーケティングなど)との学際的な視点を得られるため、卒業後のキャリアパスも柔軟化するでしょう。結果として、業界内に新しいサービスやビジネスモデルが生まれ、税理士という資格の魅力やブランド力の向上にも寄与することが期待されます。

とはいえ、年度ごとの合格率変動が大きいことや、ベテラン層が合格に苦戦していることなど、課題も残ります。年齢・学歴などの属性によって合否の格差が広がり、税理士試験が“若い人ほど有利”という構図になる可能性も指摘されます。とはいえ、資格緩和による若手参入そのものは、長期的にみれば人材不足の解消や業界の活性化に大きく寄与すると見込まれ、業務領域の拡大やデジタル化とあいまって税理士業界全体の構造変革を後押ししていくものと考えられます。

総じて、令和2年以降の税理士試験は、短期間で合格率が大きく変動する特徴を見せながらも、大学生の早期参入とそれに伴う若年層比率の上昇が非常に大きなインパクトを与えています。今後は試験制度の継続的な見直し、大学教育との連携、そして業界側の受け皿整備などが進めば、より多くの受験生が在学中に科目合格を重ね、早期に税理士資格を取得する姿が一般化する可能性が高いでしょう。その結果として、これまで“資格取得に長い年月が必要”とされてきた税理士試験の常識が変わり、若手が中心となる新時代の税理士像が形成されていくことが期待されます。

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年末年始の営業のご案内

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師走の候、今年も残すところわずかとなりました。

本年は、格別のご愛顧を賜り厚く御礼申し上げます。 

年末年始の営業の案内をさせていただきます。
当事務所では、2024年12月28日(土)より2025年1月5日(日)まで年末年始休業とさせて頂きます。
御迷惑をおかけいたしますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。

来年も本年同様、変わらぬご厚情を賜りますようお願い申しあげます。

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米国と日本の税制改正プロセスの違いが大きい!

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毎年の恒例行事の税制改正が、今年は103万円やガソリンの税金、防衛費の為の増税などで大きな注目を集めているところです。そんな中で、日本と米国の税制改正プロセスの比較から本質的な問題点を考察してみます。


日本の税制改正が毎年の年度予算編成プロセスの中にあることが、一番の問題となります。
日本は、新年度の歳出計画に見合う歳入を確保するために、与党税制調査会や財務省などの官僚が中心となり、年末から年始にかけて税制改正大綱を策定します。このことは税制が単年ごとの財源確保や部分的な政策誘導のために用いられることで、抜本的な制度改革よりも、利害調整を繰り返す小刻みな改正が常態化することになります。その結果、政策上の理念や中長期的な税制の安定性・合理性といった観点よりも、当面の財源補填や産業・業界団体の要望への対応が優先されやすく、税制全体が複雑化・不透明化しやすくなります。
税制が政治的配慮や予算確保という短期目標に引きずられ、中長期的な体系性や簡素化、公平性の確保といった重要な指標が後回しになり「税制のゆがみ」を生みだすことになります。

米国の税制改正は予算(Appropriations)と一体ではありません。米国連邦議会は歳入法案や税制改革案を必要に応じて検討しますが、それらは毎年必ず行われるわけではありません。税法の大幅な改正は、たとえば1986年の税制改革法(Tax Reform Act of 1986)や2017年の減税・雇用法(Tax Cuts and Jobs Act: TCJA)のように、不定期かつ政治的合意や政策的必要性が高まった段階で行われます。
税制改革は景気動向、政権の政策目標、所得格差是正、国際競争力強化など、特定の政策課題に対応するための立法プロセスとして位置づけられ、税制変更が必ずしも予算編成と連動せず、歳入確保のみを目的とした改正による累積的な複雑化が起こりません。
従って、今、日本で話題の課税最低限が103万円で何十年も放置されることもありません。米国ではインフレ調整(Inflation Adjustment)が法制化されています。具体的には、個人所得税において、課税所得区分や基礎控除額、各種控除が毎年インフレ率に応じて自動的に修正されます。こうしたインフレ調整はその都度立法手続きが必要ではなく、税法に組み込まれたルールによって変更される仕組みとなっています。言い換えれば、米国の税制は、予算と切り離され、法で自動調整の仕組みが組み込まれているため、財政需要に直結したその都度の微調整を必要とせず、政策的・構造的観点に基づく改革が実施される土壌があるということです。

日本と米国の税制の特徴をまとめると、日本は年度予算編成と税制改正がセットになっていることにより、税制が「年度ごとの財政収支合わせ」の道具となりやすく、税制そのものが担うべき長期的政策的役割や均衡ある制度設計が損なわれることになります。
米国では、インフレ調整などの法律に埋め込まれたルールによる自動的な修正は行われる一方、税制改正は必要な時に、比較的大規模で抜本的な税制の方針転換のためにおこなわれます。米国における税制改正は、日常的な歳入補填のための微調整ではなく、政策目的達成や経済合理性向上が目的であり、制度の方向性や簡素化への戦略的取り組みが可能になっているのです。

 

例えば、以下のような調整が毎年おこなわれています。

IRS、2024年度の税インフレ調整を発表(google翻訳)

以下に説明する 2024 年度の調整は、通常、2025 年に提出される所得税申告書に適用されます。ほとんどの納税者が最も関心を持つ 2024 年度の税項目には、次の金額が含まれます。

  • 2024年度に共同申告する夫婦の標準控除額は29,200ドルに上がり、2023年度より1,500ドル増加します。独身納税者および別々に申告する既婚者の場合、標準控除額は2024年には2023年度より750ドル増加して14,600ドルに上がります。また、世帯主の場合、標準控除額は2024年度には2023年度より1,100ドル増加して21,900ドルになります。
     
  • 限界税率: 2024 年度では、所得が 609,350 ドルを超える個人単身納税者 (共同申告の夫婦の場合は 731,200 ドル) に対する最高税率は 37% のままです。

    その他の料金は次のとおりです。

    所得が243,725ドルを超える場合、35%
    (夫婦共同申告の場合は487,450ドル) 所得が191,950ドルを超える場合、32%
    (夫婦共同申告の場合は383,900ドル) 所得が100,525ドルを超える場合、24%(夫婦共同申告の場合は201,050ドル)
    所得が47,150ドルを超える場合、22%(夫婦共同申告の場合は94,300ドル)
    所得が11,600ドルを超える場合、12%(夫婦共同申告の場合は23,200ドル)

    最低税率は、収入が 11,600 ドル以下の独身者の場合 10% です (共同申告する夫婦の場合は 23,200 ドル)。
     

  • 2024 年度の代替最低税免除額は 85,700 ドルで、609,350 ドルで段階的に廃止されます (共同申告の夫婦の場合は 133,300 ドルで、免除は 1,218,700 ドルで段階的に廃止されます)。比較すると、2023 年の免除額は 81,300 ドルで、578,150 ドルで段階的に廃止されます (共同申告の夫婦の場合は 126,500 ドルで、免除は 1,156,300 ドルで段階的に廃止されます)。
     
  • 2024 年度の勤労所得税額控除の最大額は、3 人以上の適格な子供を持つ適格納税者の場合 7,830 ドルで、2023 年度の 7,430 ドルから増加します。歳入手続きには、他のカテゴリ、所得基準、段階的廃止に対する勤労所得税額控除の最大額を示す表が含まれています。
     
  • 2024 年度では、適格交通福利厚生の月額制限と適格駐車場の月額制限が 2023 年の制限から 15 ドル増加して 315 ドルになります。
     
  • 2024 年に始まる課税年度については、健康フレキシブル支出契約への拠出金に対する従業員給与減額のドル制限が 3,200 ドルに増加します。未使用額の繰り越しを許可するカフェテリア プランの場合、最大繰り越し額は 640 ドルで、2023 年に始まる課税年度より 30 ドル増加します。
     
  • 2024 年度、医療貯蓄口座で自分専用の補償を受けている参加者の場合、プランの年間控除額は 2,800 ドル以上で、2023 年度から 150 ドル増加し、4,150 ドル以下でなければなりません。これは、2023 年度から 200 ドル増加したものです。自分専用の補償の場合、自己負担額の上限は 5,550 ドルで、2023 年度から 250 ドル増加します。2024 年度、家族向けの補償の場合、年間控除額は 5,550 ドル以上で、2023 年度から 200 ドル増加します。ただし、控除額は 8,350 ドルを超えることはできず、これは 2023 年度の限度額より 450 ドルの増加となります。家族向けの保険の場合、自己負担限度額は 2024 年度では 10,200 ドルとなり、これは 2023 年度より 550 ドルの増加となります。
     
  • 2024 年度の外国所得控除額は 126,500 ドルとなり、2023 年度の 120,000 ドルから増加します。
     
  • 2024 年に死亡した被相続人の遺産の基本控除額は 13,610,000 ドルとなり、2023 年に死亡した被相続人の遺産の基本控除額 12,920,000 ドルから増加しました。
     
  • 贈与に対する年間控除額は、2023 暦年の 17,000 ドルから 2024 暦年には 18,000 ドルに増加します。
     
  • 2024 年度の養子縁組に対して認められる最大控除額は、適格養子縁組費用の最高 16,810 ドルで、2023 年度の 15,950 ドルから増額されます。

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国税庁の相続税の事績、調査の状況から読み取れ!

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国税庁が公表した「相続税申告の状況について(令和5年事務年度分)」および「相続税調査の状況について(令和5年事務年度分)」という2つのデータから、納税者が相続において、どのようなトラブルや追加負担が防げるかについて説明します。

1. 相続税申告件数や課税件数の傾向から学ぶこと
公表データからは、毎年死亡者のうち約10%の死亡者の遺産が相続税の申告の対象となっています。平成27年の相続税の基礎控除の引き上げによりそれまでの相続税の申告割りありが4.4%から8%に、その後現在の9.9%に増え続きています。
そして、令和5年事務年度の相続税の税収は約3兆円となり、改正以前の1.4兆円から大幅に増えています。


早めの情報収集と試算
相続発生前から大まかな遺産総額や借入金などを整理し、相続税が発生しそうか、申告対象になりそうかを見極めることが重要です。事前におおよその資産評価を行うことで、相続税申告の必要性や、どの程度の税負担が見込まれるかを把握できます。

基礎控除と課税ラインの理解
相続税には基礎控除がありますが、最近の地価上昇や金融資産増大などにより、控除を上回り課税対象となるケースも少なくありません。基礎控除額や法定相続人の数、課税対象となる財産の範囲を正確に理解し、自身が該当するかどうかを把握することが大切です。

2. 相続税調査の状況から見える注意点
相続税調査データでは、1年間で実地調査を8,500件、簡易な接触を18,000件を処理をし、そのうち実地調査では84.2%、簡易な接触では27%の誤りや不正申告を見つけ出しています。約155,000件の約5.5%の実地調査、11.6%の簡易な接触をして居ることになります。これらの数値から、多いとか、少ないとかの判断はそれぞれにお任せするとして、いずれにせよ申告漏れが発生し加算税や重加算税が課税されていることには変わりありません。
このようなトラブルに巻き込まれないように、以下のことに気をつけるべきです。


財産目録の正確な作成:
相続財産には、現金・預貯金・有価証券・不動産のみならず、死亡退職金、生命保険金、海外資産、美術品・骨董品といった動産、さらには相続時に慌ただしく見落としがちな財産まで含まれます。すべての対象財産を正確に洗い出し、申告漏れを防ぐためには、故人が生前に資産リストを整備しておくことや、相続人自身が複数の金融機関や証券会社、保険会社へ照会して正確な情報を得ることが求められます。

適正な財産評価と専門家活用:
調査結果からは、不動産評価の誤りや、株式等の評価が適正でない事例が散見されることが推測されます。不動産は路線価評価が基本ですが、特殊な地形や権利関係による減額要因、また非上場株式の評価は複雑な計算を要します。こうした評価ミスが後から判明すると追徴税が発生し、余計な負担となります。財産評価に不安がある場合、税理士や不動産鑑定士などの専門家に早めに相談し、評価の正確性を高めることが重要です。

海外資産や特殊財産の申告漏れ防止:
国際化に伴い、海外口座や海外不動産などを所有する人も増えていますが、海外資産も相続税の対象です。税務当局は近年、各国間の情報交換協定強化や金融情報共有を通じて海外資産の捕捉力を高めています。海外資産をうっかり申告漏れすることはリスクが大きく、後に調査で発覚すると多額の追徴税やペナルティを科される可能性があります。海外資産がある場合は、専門家や金融機関と相談し、透明性を確保することが肝要です。

3. 前年度比較や長期傾向から読み取れる注意点

相続税制改正への備え:
過去に相続税の基礎控除が引き下げられた際、多くの人が急に課税対象となりました。今後も税制改正や、不動産や株式市場動向、金融資産の評価ルール変更などが起こり得ます。こうした社会・制度変化に柔軟に対応するため、定期的に財産状況を見直し、相続税計算のシミュレーションを行いましょう。

早期の相続対策(生前贈与や信託など)の検討:
相続時点で慌てて対策をしても効果は限定的です。生前贈与や住宅取得資金贈与、生命保険の活用、遺言信託の設定など、長期的な視点で課税額を抑える方法は多様です。最新の調査傾向を踏まえ、税務当局が関心を強めている分野(例えば海外資産、未申告財産、複雑な財産評価スキームなど)を把握し、それらを正しく処理するための対策を時間をかけて検討することが得策です。

4. コンプライアンス意識と信頼関係の構築
調査結果からは、意図的な不正申告だけでなく、知識不足や手続きの不慣れによるミスも少なくないことが窺えます。

正確な申告とコンプライアンス重視:
相続税に対して誠実に向き合い、適正かつ正確な申告を行うことで、後日の調査で追加課税やトラブルを回避できます。特に相続税は、相続人間の関係性や相続財産の分配にも影響するため、公正な手続きと透明性は、親族間の紛争防止にも寄与します。

専門家との連携:
税理士などの専門家は、単なる計算業務以上の役割を果たし得ます。相続人間の合意形成、財産評価の見直し、書類整備、法的手続きなどのトータルサポートによって、申告の正確性や円滑化を図ることができます。その結果、税務当局との無用な対立を避け、将来的なリスクを大幅に低減することが可能です。

まとめ
一般の納税者にとって重要なのは、日頃から正確な資産把握と評価方法を理解し、必要に応じて専門家を活用することです。また、法改正や市場動向に常にアンテナを張り、必要ならば生前贈与や信託などの相続対策を講じることで、調査リスクや将来のトラブルを最小限に抑えることができます。コンプライアンス意識を高め、透明性・適正性を重視した相続準備を行うことで、スムーズかつ公平な相続手続きと、不要な税務上のリスク回避が期待できます。

 

令和5年分相続税の申告事績の概要

令和5事務年度における相続税の調査等の状況

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人気のIT補助金、不正は絶対ダメ。

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IT補助金不正受給問題が浮き彫りにする課題と対策

近年、中小企業の生産性向上やデジタル化推進を目指した「IT導入補助金」制度が注目を集めています。これは、中小企業や小規模事業者が自社の業務効率化や売上増加を目的にITツールを導入する際、その費用の一部を国が補助する仕組みです。事業者にとってはIT投資に対するハードルが下がり、ITベンダー側にとっては市場拡大につながる「Win-Win」の関係が期待されていました。ところが、ここ数年でこの制度を悪用した不正受給が相次ぎ、業界全体に深刻な影を落としています。

不正受給の手口と背景
不正受給の代表的な手口として、架空のITツール導入計画をでっち上げ、補助金を申請・受給する例が挙げられます。たとえば、実際には導入していないソフトウェアを「導入済み」と偽ったり、実際の費用よりも過大な請求を行ったりするケースがあります。また、ITベンダー側が申請者と結託し、存在しないサービスを提供したかのように報告書類を作成する手口も問題視されています。

なぜ、こうした不正が後を絶たないのでしょうか?背景には、補助金申請プロセスの複雑さや、人手不足によるチェック体制の不十分さが挙げられます。多くの申請書類を短期間で審査しなければならない担当部署は、細かな点検に十分なリソースを割けない場合があります。そのため、多少不審な点があっても見過ごされやすく、悪意ある業者にとっては「狙い目」となってしまうのです。

規制強化と再発防止策
政府側もこの問題を放置しているわけではありません。経済産業省や中小企業庁は不正発覚後、審査体制の強化や報告書類の精査を進める方針を打ち出しています。また、IT導入支援事業者(ITベンダー)に対する監視や、資格取り消しなどの厳格な処分が検討・実施されています。さらに、先進的な不正検知システムの導入や、外部有識者・監査法人等を活用した審査強化策も議論されています。

一方で、補助金を受け取る側にも倫理観が求められます。補助金は納税者の血税から成り立っており、その本来の趣旨は企業の健全な成長を後押しすることです。不正受給は、この趣旨を踏みにじる行為であり、社会的信頼を大きく損ねます。不正行為が横行すれば、制度そのものが厳格化され、結果的に本当に支援を必要とする事業者へのハードルも上がってしまいかねません。

企業側への提言:内部統制とコンプライアンス意識の強化
不正受給問題を契機に、中小企業やIT導入支援事業者は自社内部でのコンプライアンス体制を見直すべきです。例えば、経理・総務部門だけでなく経営陣も巻き込み、補助金申請から受給後の報告まで一貫した監視・記録体制を構築することが重要です。社内で透明性の高い意思決定プロセスを整え、第三者による監査を受けるなど、自主的なガバナンス強化策が求められます。

また、ITツール導入計画そのものが実際の業務改善につながるかを慎重に検証することも必要です。不正はもちろん論外ですが、「とりあえず補助金が出るから」という安易な発想でツールを導入すると、結局使いこなせず、事業成果にもつながりません。補助金はあくまできっかけであり、本質は業務効率化・生産性向上という経営改善なのです。

業界全体の健全化に向けて
この不正受給問題は、政府や企業単体だけで対処すべき問題ではありません。IT業界全体として健全なエコシステムを形成することが求められます。業界団体や公的な支援組織は、補助金の正当な利用方法や申請手続きのガイドラインをわかりやすく周知するとともに、定期的な研修会やセミナーを通じて関係者の意識向上を図ることができます。

さらに、メディア報道を通じて不正の実態が明らかになることで、一般市民や企業経営者も、この問題の深刻さを認識できます。情報公開や報道は、透明性の確保と世論形成に重要な役割を果たします。信頼される仕組みづくりと適切な情報発信によって、再発防止への抑止力が働くことが期待できます。

まとめ:持続可能な補助金制度へ向けた転換点
IT導入補助金は、中小企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を促進する有力な政策ツールであり、適正な運用によって多くの企業が成長のチャンスを得られる制度です。しかし、不正受給問題が浮上した今、制度全体を揺るがす事態となっています。ここで求められるのは、制度改革を伴う厳正なチェック体制の確立と、企業側の倫理的な行動です。

不正に手を染めることなく、公正なルールの下でIT補助金を活用することが、中長期的にはすべての関係者にとってプラスに働きます。この問題を機に、私たちは「安易な利益誘導」ではなく「持続可能な成長」につながる選択をすべきです。健全なエコシステムが育めば、IT補助金は日本経済全体の底上げにつながる有用な支援策として、再び信頼を取り戻すことができるでしょう。

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生命保険予定利率引き上げ

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日本生命保険では保険の契約者に約束する利回り(予定利率)を2025年1月に引き上げます。予定利率上げは約40年ぶりとなります。同業各社も同様に引き上げをおこなう旨の報道がされています。
生命保険の予定利率が上がることによるメリットと、相続税における生命保険金の非課税制度について説明します。


生命保険と相続税の非課税制度
相続税の計算において、生命保険金は「500万円×法定相続人の数」という非課税限度額が適用されます(参考:国税庁ウェブサイト)。これは死亡保険金が遺族の生活保障という性質を持つことから、一定額まで相続税の対象から外す仕組みです。そのため、被相続人が生前に保険料を負担することで、現預金や有価証券を減らし、死亡保険金として非課税枠内での財産移転を行うことが可能になります。この非課税枠は、高額資産を保有する層にとって、相続税負担軽減の有効な手段となりえます。

予定利率とは
予定利率とは、生命保険会社が保険料や解約返戻金、将来の運用見込みを計算する際に用いる「想定される運用利回り」のことです。この予定利率は市場の金利環境に影響を受け、長期的な低金利時代が続くと保険会社は予定利率を引き下げる傾向にあります。逆に、金利上昇局面では予定利率が引き上げられる可能性もあります。この変動は、保険商品の貯蓄性や死亡保障部分のバランス、評価額に影響を及ぼし、結果的に相続税対策上の戦略にも関わってきます。

予定利率が上がる場合のメリット
金利上昇局面などで予定利率が上がれば、保険商品の貯蓄性が高まり、将来的な解約返戻金や満期返戻金の増加が見込めます。この状況は主に次のような点でメリットとなります。

資産形成効果の向上:予定利率が高い保険は、同一保険料でもより多くの返戻金を将来得られる可能性があります。相続発生前の段階で資産を効率的に増やし、最終的には死亡保険金として遺族へ移転することで、生活保障や納税資金確保に余裕を持たせられます。

運用効率の改善:貯蓄性の高い保険は、低リスクで長期的な運用を行う手段として有効です。相続時に保険金を受け取るまでの間、相続人にとっては利率上昇により有利な条件で保険価値が育つことになり、トータルで得られる経済価値が拡大します。

まとめ
生命保険は、相続税対策として「非課税枠」という明確な優遇措置を活用できる希少な金融商品です。予定利率の引き下げは、相続発生時の評価額抑制や純粋な死亡保障強化を通じた節税効果につながる一方、予定利率の上昇は、貯蓄性向上による資産形成効果と受取時の保障強化というメリットをもたらします。どちらの局面においても、生命保険は相続対策や納税資金確保の手段として有効であり、市場環境を踏まえて契約内容を見直すことで、より有利な相続設計が可能となると言えるでしょう。

この記事を書いた人

税理士 藁信博(代表者プロフィール
藁総合会計事務所 代表
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