中小企業経営に役立つ「ローカルベンチマーク」と経営の言語化~自己理解と漸進的改善のために~

中小企業経営に役立つ「ローカルベンチマーク」と経営の言語化
~自己理解と漸進的改善のために~
中小企業経営では、日々の業務に追われる中で「自社を客観的に見つめ、強みや課題を整理する時間」を取るのが難しいという声をよく耳にします。こうしたときに有効なのが、 経済産業省が提供する「ローカルベンチマーク(ロカベン)」です。
ロカベンは、いわば「経営の健康診断ツール」。財務と非財務の両面から企業を可視化し、経営者が自社の現状を正しく理解し、改善に向けて一歩を踏み出すための支援ツールです。
ローカルベンチマークとは?
- 財務分析シート(6つの指標):売上増加率、営業利益率、労働生産性、EBITDA/有利子負債倍率、営業運転資本回転期間、自己資本比率を可視化。
- 商流・業務フローシート:仕入・販売・付加価値の流れを整理し、業務プロセスや取引構造の課題を明確化。
- 「4つの視点」シート(非財務):経営者、事業、環境・関係者、内部管理の観点で数字に表れない強みやリスクを整理。
ロカベンがもたらす効果
- 自己理解の深化:自社の強み・弱みが言語化され、改善ポイントが明確に。
- 金融機関との対話促進:非財務情報を整理することで事業性評価時の説明力が向上。
- 漸進的イノベーション:現状を小さく改善していく「インクリメンタル型」の経営改革が可能。
経営者自身が「経営を言語化する」重要性
ロカベンを効果的に活用するうえで、まず経営者自身が「自社を言語化」することが欠かせません。 頭の中で漠然としていた理念や課題意識を言葉にすることで、経営の軸が明確になり、社内外への説明力も高まります。
経営の言語化に取り組むステップ
- 3つの問いに答える
・うちの会社の「強み」は何か?
・現在の「課題」は何か?
・5年後に「どうなりたいか」? - 「4つの視点」で整理する
経営者、事業、環境・関係者、内部管理という切り口で非財務要素を書き出します。 - 財務指標と突き合わせる
言葉と数字を一致させ、整合性を確認します。 - 外部支援機関と対話する
商工会議所や金融機関、専門家と共有し、フィードバックを受けて精度を高めます。
まとめ
ローカルベンチマークは、自社の現状を「見える化」し、課題を抽出し、改善に向けた第一歩を踏み出すための有効なツールです。 そして何より重要なのは、経営者自身が自社を言語化し、社内外に伝える力を養うことです。
「数字」と「言葉」を組み合わせた自己理解こそが、持続的な成長の礎となります。 私たち会計事務所では、ロカベンを活用した経営分析や事業性評価のサポートを行っています。 自社を客観的に見直したいとお考えの経営者の方は、ぜひお気軽にご相談ください。