メインコンテンツに移動

第5話 資金計画の立て方

Title

半ば勢いで独立を決意し、会社を退職したプログラマーのゆうこ。税理士・藁に開業にあたっての相談をし、手続きについて教えてもらう。そして開業届を提出し、いよいよ開業をしたのであった。

コンコン、と扉をノックする音と同時に、入るわよ~と母が声をかけて部屋に入ってきた。「洗濯物乾いたやつと、あと郵便が来てたわよ」と言うと母は、きれいにたたまれた洗濯物と郵便物をテーブルの上に置いた。まわりの友人たちは、一人暮らしで自分の家事は自分でしていたり、もう結婚している友人に関しては家族の分まで家事をしているというのに、全くもってありがたいことである。

「ありがとう」ゆうこはパソコンと向き合いながら礼を言う。ん~と何か考えこんでいる様子の娘に母は「何うなっているの?」と聞く。ゆうこは振り返り、母の方を向く。「資金の計画表を作っていたの。私、開業準備にはあまりお金がかからなかったからお金のことって漠然としか考えていなかったんだけど、これからのお金のことをちゃんと考えておかないとって思って」

ゆうこは自宅を事務所としており、プログラマーという仕事であることもあって、開業自体には費用があまりかからなかったのだ。しかし、これから仕事を始めてお金が入ってくるまでには少し時間がかかる。会社勤めの時のように毎月きちんと収入があるわけではない。

「お金の計画は大事よ~。お母さんも、子供3人育てるのに家計のやりくり大変だったんだから~」母は思い返すように話し始める。
「毎月かかるお金はもちろん、更新のお金とかその時々にかかるお金も把握しておかないとね」
お母さんも昔こんなことがあったわ~とか、3人も子供がいると出費が重なることも多くてね、などあれこれ話してくれるのだが、話の内容がだんだんとずれてくる。そして母は一度話し始めると長い。そろそろ続きをするから、と言ってゆうこは話を終わらせた。母は、まあ頑張りなさい、と言って部屋を出た。

 

開業すぐはまだ収入も不安定です。無計画では最悪の場合すぐに廃業になってしまうかもしれません。
そうならないためにも、しっかりとお金の計画が必要です。まず開業準備に必要な開業資金と開業後に必要な運転資金に分けて考えていきましょう。

 

1.開業準備のための資金計画

開業のための準備開始から営業開始までの開業資金を考えます。
開業するにあたって、いくら必要なのかを書き出しましょう。
書き出していくことで全体を把握していきます。

事務所や店舗を借りる場合は家賃、敷金、礼金、保証金、仲介手数料が必要です。店舗を改装する場合には内装や外装の工事費用が必要です。
パソコン、電話、机、椅子など什器備品の購入や開業を告知するための広告宣伝費、商品・材料の仕入等が必要になります。


2.開業当初の運転資金の把握

次に開業してから軌道に乗るまでの期間にいくらのお金がかかるのかということを把握することが必要です。
売上がなくても家賃や誰か雇用をしている場合は人件費、商品の仕入、水道光熱費などの経費は毎月支払わなければなりません。毎月営業していくために必要な資金のことを運転資金と言います。
まずは開業してから3ヶ月間の計画を立ててみましょう。一般的に運転資金は3ヶ月分あれば売上が急激に落ち込むなど何かあったときにも安心と言われています。また融資が認めてもらいやすいのも3ヶ月分と言われています。

実際どのくらい必要か想定するのは難しいときは、家計を参考におおよその金額を考えてみましょう。
想定した金額と実際にかかった費用を比べて、経費に対して意識していくことが大切です。

初期費用を抑えられたのはやはり大きいなぁ、と数字で見てより実感したゆうこ。
自宅を事務所にできた環境に感謝しつつ、会社を退職するときに表向きは花嫁修業で辞めるといった手前、家事も母に甘えてばかりでなく自分でもやらなくてはなぁと思ったのであった。
            

この記事を書いた人

税理士 藁信博(代表者プロフィール
藁総合会計事務所 代表
東京都品川区戸越2丁目5番3号
ウェルマン戸越3階
 免責

第4話 開業時に提出する書類・青色申告について

Title

 開業準備を始めていたゆうこ。フリーランスの先輩でもある元上司の鈴木を始め、同業者や他業種でも独立して仕事をしている知人をあたり、開業後の仕事の流れや経験談など、いろいろな話を聞いてまわっていた。
 ゆうこは一見しっかりしているようで、実際はお調子者な面もあり、昔からどこか危なっかしいところがあった。愛想はあるので、周囲の人間はついつい世話を焼いてしまう。今回も急に独立すると言い出したので、周囲は大丈夫なのかとあれこれ心配をしているのであった。こういった世話焼きな知人・友人のおかげで今日のゆうこがいると言える。

 開業後の仕事のことで頭をいっぱいにするゆうこであったが、肝心の「開業」をまだしていない。
 鈴木に紹介してもらった税理士の藁を訪ね、開業にあたっての相談を聞いてもらい、開業の手続きを教えてもらうのであった。

【個人事業の開業・廃業等届出書】
 開業する個人事業主は、「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署に提出します。
 提出期限は、開業の日から1か月以内です。提出期限が土日・祝日に当たる場合は翌日が期限となります。

 提出先については、まず「納税地」をどこにするかで決まります。ゆうこの場合、自宅を事務所にするので納税地は自宅になります。多くの個人事業主も自宅を納税地としていますが、事務所・店舗の所在地を納税地とすることも可能です。
 届出書が完成したら控え用としてコピーをしましょう。提出と同時にその控えに受付印を押してもらいます。この控えは金融機関などで必要になる場合があります。
 届出書の提出は、税務署に持参するか、郵便でも提出することができます。郵送で提出する場合は、控えを返送してもらうため切手を貼った返信用封筒を同封するのを忘れないでください。

 「開業届を提出すると同時に検討したいことなんですが、所得税の申告方法を青色申告にするか、白色申告にするか、どうしましょうか」
 藁から質問されるが、ゆうこはまずそれぞれの意味が分からない。それをすぐに察知した藁は、質問に続けて説明を始めた。

【青色申告と白色申告】
 確定申告には青色申告と白色申告の2つの申告方法があります。青色申告の場合、事前に申請書の提出と複式簿記による帳簿の作成が必要になります。白色申告は複式簿記の帳簿が必要ないため青色より簡単です。しかし青色申告の制度は所得税上メリットが大きいです。

  1. 青色申告特別控除
    所得金額から10万円控除または55万円(最高65万円)控除できる制度です。簡単に言うと所得税が安くなります。

    【55万円控除を受けるための要件】
    ・複式簿記により記帳していること
    ・それに基づいて作成した貸借対照表・損益計算書を確定申告書に添付すること
    ・その年の確定申告期限までに申告書を提出すること

    【65万円控除を受けるための要件】
    ・上記の55万円控除の要件に該当していること
    ・その年分の仕訳帳、総勘定元帳について電子帳簿保存を行っている、またはその年分の確定申告書の提出を提出期限までにe-taxを使用して電子申告を行うこと

    【10万円控除】
    上記の55万または65万円の控除の要件に該当しない青色申告者が10万円控除を受けられます。

     
  2. 青色事業専従者給与
    家族で経営している場合その家族に給与を支払うことがありますが、この給与は原則経費になりません。
    下記の要件を満たせば家族に支払う給料を経費とすることができる制度です。

    ・青色申告者と生計を一にする配偶者その他親族であること
    ・その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること
    ・その年を通じて6ヶ月以上、専ら従事していること(一定の場合は従事することができる期間の半分以上)
    ・「青色事業専従者給与に関する届出書」を所轄税務署長に提出していること

    白色申告の場合、「事業専従者控除額」として年間で控除できる金額が決まっています。
    下記のいずれか低い金額です。
     (1) 配偶者86万円、配偶者以外の専従者50万
     (2) 事業所得等の金額を専従者の数に1を足して割った金額(事業者所得とは収入から経費を引いた金額です。)

    例えば、収入200万円、経費50万、専従者(配偶者)が1人だった場合
    (200万-50万)÷(1+1)=75万
    (1)の金額より、(2)で計算した金額の方が低いため、事業専従者控除額は75万円となります。

     
  3. 純損失額の繰越控除
    赤字になった分を翌年以降3年間の繰り越しができ、その年の所得からマイナスして税金を計算することができる制度です。

    例えば、1年目-100万、2年目-50万、3年目+100万、4年目+100万だった場合。
    1年、2年目は赤字だったので所得税は0円です。
    3年目は100万の黒字になりましたが、1年、2年目の赤字-150万を繰り越しているので、差引-50万です。3年目も所得税は0円です。
    4年目は100万-50万=50万になり、繰り越してきた赤字がなくなったので50万から所得税が計算されます。

青色申告を受けるためには、「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出します。
提出期限
・開業日が1月1日~1月15日の場合→開業した年の3月15日
・開業日が1月16日~12月31日の場合→開業した日から2か月以内

青色申告の申請書を提出しない人は白色申告になります。
2014年1月から白色申告も記帳・帳簿等の保存が義務化されました。節税のメリットを考えると青色申告の方が圧倒的にお得だと思います。

「藁先生、青色申告にしたいです…!」
こうしてゆうこは開業の届出と、青色申告の申請をしたのであった。
 

この記事を書いた人

税理士 藁信博(代表者プロフィール
藁総合会計事務所 代表
東京都品川区戸越2丁目5番3号
ウェルマン戸越3階
 免責

第3話 相談相手の選び方

Title

「おじゃまします」
 鈴木に連絡を取ったゆうこは、鈴木の自宅に招かれた。
「悪いね、こっちまで来てもらっちゃって」
「いえ、こちらこそお忙しいところすみません」
 鈴木は小学1年生になる娘を持つ主婦である。2年前に会社を退職し、現在はフリーランスで在宅プログラマーをしている32歳。面倒見の良い鈴木にゆうこは公私ともに世話になっていた。仕事と育児を両立する鈴木を、ゆうこは仕事の先輩としても女性としても尊敬している。

「急に会社辞めて独立するだなんて、びっくりしたよー」
「将来的には、とは考えていたんですが、早くてもいいかなと思い勢いで決めちゃいました」
 独立しようと決めたのは映画の影響なんです、とはさすがに言えず、ゆうこは笑いながら言葉を濁した。
「自宅を事務所にして始めます。この仕事なので設備投資は少なくて済みますし、あと領収書・請求書などを準備したり、販促ツールを作ろうかと。あと開業前の準備は何をしたらいいでしょうか」
「開業前の準備ねぇ。業種によっては許認可が必要になるからその手続きね。飲食店で営業許可証っていうのが飾ってあるのを見たことがあるでしょう?」
「あります!」
「あれよ、あれ。うちは旦那が飲食店を始めるのに食品営業許可の手続きをしたわ。まぁプログラマーは許認可が必要な業種に該当しないから、これは必要ないけどね」

※許認可手続きを行う窓口は業種により異なります。(保健所や警察署、ハローワーク、税務署、都道府県庁など)自分の業種がどこの窓口なのかは各窓口機関のホームページで確認出来ます。許認可手続きは行政書士が行っていますが難しくなければ自分で手続することもできます。

「あと専門家の相談相手を見つけることかな。独立開業するのに、自分では分からない問題も多いからね。自分でやろうとして時間がかかって、本業がおろそかになったら本末転倒よ。それに専門家にきちんとアドバイスをもらえれば、本業にも集中できるからね」
「なるほど。鈴木さんはそういった相談相手はどうやって探したんですか?」
「知り合いから紹介してもらったり、インターネットでも調べたりしてね。例えば開業する時に税務署に提出する開業届とか、確定申告の相談をするなら税理士ね。私がお世話になっている税理士を紹介しようか?」
「ぜひ、お願いします!」
 こうしてゆうこは鈴木の紹介により、税理士の藁を紹介してもらう。開業にあたっての相談と手続きを進めていくのだった。

【相談相手について】
 独立開業するにあたり、誰しも初めてのことばかりで分からないことがたくさんあると思います。そんなとき税理士や弁護士などの専門家は心強い相談相手となるでしょう。ネットで検索すれば何でも調べられる時代ですが、ネットの情報だけで何でも決めてしまうのは危険です。専門家はその選択でどんなことが起きるかさまざまな場面を想定して教えてくれるでしょう。

【専門家】

  • 税理士
    税金、確定申告
  • 社会保険労務士
    社会保険、労働保険、雇用保険
  • 行政書士
    許認可、登録
  • 司法書士
    登記申請、契約書の作成、抵当権の設定・抹消
  • 弁護士
    特許、商標権、法律全般
  • 中小企業診断士
    経営指導、企業診断


 上記のように、さまざまな専門家がいます。また専門家も人間ですので、その人の雰囲気・考え方・仕事のやり方・顧問料などそれぞれ違います。当然、自分と合う合わないがあります。最初の1人で決めるのではなく、複数人と会って話をして、この人にだったら任せられる!と感じた方にお願いするといいでしょう。

この記事を書いた人

税理士 藁信博(代表者プロフィール
藁総合会計事務所 代表
東京都品川区戸越2丁目5番3号
ウェルマン戸越3階
 免責

第1話 会社を辞めた時の保険のお話

Title

 プログラマーとして会社に勤めていたゆうこ。ひょんなことから独立を決意し、会社を辞める。だが開業するとなると何をどうしたらよいのか…。そんなゆうこが独立して仕事をしていく過程を掲載していきます。

 ゆうこ26歳、独身。コンピュータ関係の専門学校を卒業後、プログラマーとして会社に勤め5年。仕事に追われる日々。会社での技術には精通していくが、最新のプログラム技術などの勉強が追いつかないことが不満になっていた。やりたいこと、勉強したいことがたくさんあり、まとまった時間を持てるようにしたいと思っていた。
 そんな中、マーク・ザッカーバーグの映画「ソーシャル・ネットワーク」を見て、ゆうこの頭の中に電撃が走る。…これは私も起業するしかない!と。思い立ったら吉日、その後すぐに会社に退職願を提出。同僚や上司からなぜ突然辞めるのかと聞かれるが、「決め手は映画です!」とは言えず「花嫁修業です」と答えたところ、何とも渋い顔をされた。両親に寄生し家事もほとんどしてこなかったため、料理はろくに出来ず職場のデスクはいつも散乱、その上異性への理想は無駄に高い…これまでの行いが微妙な説得力を持たせた。もちろん信じていない人も多い。
 家族には本当の退職理由を話した。役所勤めの父はやはり反対した。しかしゆうこが必死に説得すると、好きにしなさいと呆れ顔で言った。何だかんだ言っても、娘に甘い父である。母は楽天的な性格からか、むしろ面白がって話を聞き、応援してくれた。この母にこの娘あり、といったところか。新社会人となる弟は「へぇ…」と一言。関心のない様子。自分のこれからの社会人生活のことで頭がいっぱいなようだ。まだ高校生の弟も、姉の退職など他人事である。
 
 なんとか会社を退職したゆうこ。
 はりきって起業について考えてみるが、「えーと、どれから手をつければいい?そもそも何をすればいいの?てか何もかも分からない…」という状況に陥ってしまった。「いや待てよ、起業の前にまず保険や年金はどうしたらいいの?」

 独立を決めたら、自分で全てを抱え込むのではなく、分からないことは税理士や専門家に聞いてみる、相談するのが一番早いです。
 今回はまず、「会社を退職してからの健康保険・国民健康保険について」のお話です。

 

健康保険か国民健康保険を選ぶ

 会社員は、会社で社会保険に加入していると思います。給与明細を見ると健康保険と厚生年金保険が控除されていませんか?この金額は会社と折半されています。国民健康保険は全額自己負担となっています。会社を退職したら、加入している社会保険に任意継続するのか、国民健康保険に加入するのかを選択して手続きをします。

【退職後の健康保険制度の選択肢】
1.退職前の健康保険の任意継続加入
保険料は会社で折半していた分も自己負担するので今までの倍となります。加入期間は2年間です。
任意継続できるのは、退職日までに継続して2ヶ月以上健康保険に加入している必要があります。
また退職日から20日以内に申請をしてください。提出先は加入していた健康保険組合等です。

<任意継続の申請手続きに必要な書類>

  • 健康保険任意継続被保険者資格取得申出書
  • 退職日の確認が出来る書類(退職証明書、離職票、健康保険被保険者資格喪失届等)
  • 被扶養者がいる場合、収入を証明する書類

 

2.国民健康保険に加入
保険料は前年の所得、加入する世帯の人数により計算されます。
国民健康保険は、住んでいる市区町村で手続きを行います。退職日から14日以内に届出をしてください。

〈国民健康保険の申請手続きに必要な書類〉

  • 退職日の確認できる書類

この記事を書いた人

税理士 藁信博(代表者プロフィール
藁総合会計事務所 代表
東京都品川区戸越2丁目5番3号
ウェルマン戸越3階
 免責

第2話 健康保険の移行しました、そして年金について

Title

 役所に行き、国民健康保険の加入手続きを済ませたゆうこ。
 平日の夕方、帰り道に空を見上げると夕陽がとてもきれいだった。夕陽を見るのも久しぶりだったが、こうして空を見上げるということもずいぶんとしていなかったのだなぁと、これまで心の余裕もなく家と会社の往復ばかりしていたのだと気づくのであった。

 その夜、帰ってきた父が「今日役所に来たんだってな。父さんちょうど外出していたんだが、ちゃんと手続きは済ませたのか?」と心配な様子で聞いてきた。
 父は役所勤めである。ゆうこが会社を辞める話をした時に、退職後に役所で行う手続きについてあれこれと話をしてくれたのだが、その時ゆうこは円満退社するためにどうしようかということで頭がいっぱいで父の話がまるで頭に入っていなかった。上の空で「うん、うん」とだけ返事をする様子を見ていた父は、もういい年の娘だが心配であった。
「ちゃんと健康保険の加入手続きしてきたよ。でも私これまで病気も怪我もほとんどしていないのに、保険料払っているだけで損だなぁ」
 そうぼやいていると、父は
「今までがそうだったからって、これからいつ保険のお世話になるか分からないんだからな。それに、健康保険というのは病気や怪我の医療費だけじゃなくて、出産するときには一時金や、亡くなった時には葬儀費用の援助も受けられるんだよ。保険への加入は義務だが、いざという時のために、自分と家族のためにもきちんと納めておかないとね。」
と言った。
 これまで病気や怪我とはほぼ無縁だったゆうこ。会社に勤めていた五年間も無遅刻無欠勤。繁忙期、疲労により次々と社内の人間がダウンし、風邪やインフルエンザが蔓延していく中、一人ピンピンしており周囲から鉄人とも呼ばれていた。
 父の言うとおり、今が健康だからと言って、いつ何があるか分からない。会社を辞めたので当然、有給休暇などもうない。これから独立し仕事をしていくので尚更、体が資本だなぁと、健康管理には気をつけなければ、とあらためて思うのであった。
「あとは年金の変更手続きもしないとな」
「…お父さん、年金の変更手続きには何が必要なんでしたっけ?」
「やっぱりこの間話したとき聞いていなかったな…やれやれ」
 父は呆れながらも、また説明をしてくれたのだった。

【個人事業主の年金制度のしくみ】
 国民年金には第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者の3種類あります。

  • 第1号被保険者 20歳以上60歳未満の自営業、学生、配偶者など
  • 第2号被保険者 厚生年金に加入している会社員、公務員など
  • 第3号被保険者 第2号被保険者に扶養されている配偶者(年収が130万未満)

 個人事業主は、国民年金(第1号被保険者)に加入することになります。会社を退職したら厚生年金から国民年金へと切り替える手続きをしなければいけません。また第3号被保険者の配偶者がいる場合、配偶者も第3号から第1号へ切り替える手続きが必要です。国民年金は誰でも同じ金額となります。令和4年度の1ヶ月あたりの保険料は16,590円です。また、まとめて前払いをすると割引が適用されます。6ヶ月、1年、2年から選べます。現金納付より口座振替のほうが割引率が高くなっています。お金に余裕があれば検討してみましょう。


【変更手続きに持参する物】

  • 年金手帳(配偶者の手続もするなら配偶者分も)
  • 退職した日を確認できる書類(退職証明書、離職票など)

 退職日の翌日から14日以内にお住まいの市区役所にて手続しましょう。

 後日、離職票が届いたゆうこは役所に行き、国民年金への加入手続き済ませた。会社を退職後に必要な手続きを終えたので、次は開業に向けての手続きをしていくことになる。

「鈴木さんに連絡を取ってみよう」
 ゆうこは元上司の鈴木に連絡を取った。鈴木は、ゆうこが新入社員だった頃に特にお世話になっていた上司で、現在はフリーランスでプログラマーをしている。鈴木が会社を退職した後も、たまに飲みに行くなど付き合いを続けている。同業の先輩にいろいろと教えを乞うことにした。

この記事を書いた人

税理士 藁信博(代表者プロフィール
藁総合会計事務所 代表
東京都品川区戸越2丁目5番3号
ウェルマン戸越3階
 免責