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飲食料品の消費税率を8%から1%へ引き下げる改正案が公表されています。家計の負担軽減が期待される一方、事業者にはレジや請求書の変更、納税額の見直しなどの対応が必要です。

本記事は、令和8年9月15日閣議決定の大綱と、2026年10月7日までに確認した公表資料に基づきます。国税庁は、今後、法案が国会で可決・成立した場合の内容として説明しています。

1.対象は飲食料品。外食や酒類は10%のまま

改正案では、令和9年4月1日から令和11年3月31日までの2年間、現在の軽減税率の対象となっている飲食料品の税率を、国税・地方税合計で1%に引き下げます。

取引の例改正案の税率
食品、酒類を除く飲料、持ち帰りの弁当など1%
週2回以上発行され、定期購読契約に基づく新聞8%
店内飲食、酒類、その他の一般的な商品・サービス10%

同じ飲食店でも、店内飲食と持ち帰りでは税率が異なります。商品区分、レジの設定、従業員の確認手順をそろえることが大切です。一定の定期供給契約や通信販売には旧税率8%が残る経過的な取扱いもあるため、切替日前後の取引は個別に確認します。

2.減税でも、飲食店の納税額が増える場合があります

原則課税では、売上げに係る消費税から、仕入れや経費に係る控除可能な消費税を差し引きます。

店内飲食が中心のお店では、売上げの税率は10%のまま、食材の仕入税率が1%になります。税抜きの売上高・仕入高などが同じなら、差し引ける税額が減るため、納税額は増える方向に動きます。一方、食品販売では売上税額が減り、家賃や設備等の10%の仕入税額との関係で還付が生じる可能性があります。影響は業種と経費構成によって異なります。

3.レジ・システム改修への支援

政府は令和8年9月29日、円滑な実施に向けた準備のため、総額1,119億円の予備費使用を閣議決定しました。このうち781億円は、中小企業等のスマートレジ導入やPOSレジ改修への支援などに必要な経費です。残る338億円は、支援金導入に向けた自治体の税務システム等の改修などに充てるものです。

予算措置と、自社が補助金を申請できることは別です。導入・改修を検討する際は、公募要領で対象経費、補助率、上限額、申請期間、契約・発注前の手続の要否を確認してください。まずは現在のレジや会計・販売管理ソフトが対応できるか、提供会社へ確認しておきましょう。

4.農林漁業者・食品・外食事業者への支援方針

財務省は、影響を受ける農林漁業者について、個別の売上高を踏まえた金額を給付する仕組みを導入する方針を示しています。また、食品事業者や外食事業者には、資金繰りや生産性向上に向けた取組への支援等を行い、予算編成過程で具体化するとしています。

現段階で「飲食店には納税増加分が全額補填される」「食品を扱えば必ず給付を受けられる」と判断することはできません。対象者や支援額等の具体化を確認するとともに、自社の納税額と資金繰りを先に試算することが必要です。

5.税務手続・値札変更にも負担を軽減する特例案

食品販売事業者が還付を受けられるよう、免税から課税への選択や、簡易課税から原則課税への変更について届出期限の特例が示されています。簡易課税の計算や、中間納付額を調整するための特例案もあります。

値札の貼替えが間に合わないなどの事情がある場合には、令和9年2月1日から5月31日まで、実際の支払額を誤認させない掲示等を条件に、新旧税率による税込表示の混在を認める特例案があります。税抜価格だけを表示してよいという意味ではありません。

6.家計向け支援金と、事業者向け支援を分けて考える

大綱では、税率引下げとともに「就業者負担軽減支援金」を導入する方針も示されています。当面は飲食料品に係る消費税1%相当分の範囲で支援金を組み合わせ、令和11年度の本格導入につなぐ設計です。

これは、レジ改修支援や事業者の資金繰り支援とは別の制度です。従業員から問い合わせを受けた場合も、支給要件や申請方法は正式な案内に沿って確認しましょう。

7.今から準備したいこと

  • 売上げと仕入れを税率別に整理し、納税額・還付額を試算する。
  • レジ、会計ソフト、請求書、ECサイトの対応予定と改修費を確認する。
  • 簡易課税・原則課税の選択と届出期限を確認する。
  • 改修等の支援制度について、発注前に公募要領を確認する。
  • 値札、メニュー、従業員の案内方法を見直す。

東京・品川区の藁総合会計事務所では、事業内容と決算期を踏まえ、消費税の試算、課税方式の選択、必要な届出の確認をお手伝いしています。制度が具体化する前から、自社への影響を整理しておきましょう。