法人の中間申告・中間納付とは?半期で発生する法人税・地方税の支払いに注意
法人では、事業年度の途中で、前年の法人税や地方税を基準に税金を前払いする制度があります。一般に「中間申告」「中間納付」と呼ばれるものです。
たとえば3月決算法人であれば、事業年度開始から6か月が経過した後、原則として11月末ごろに法人税、地方法人税、法人住民税、法人事業税などの中間申告・中間納付が発生することがあります。
経営者の方からは、「まだ決算が終わっていないのに、なぜ税金を払うのか」「前年の半分を払うだけなら簡単ではないか」と聞かれることがあります。しかし、中間納付は資金繰りに大きく影響するため、単なる税務手続きではなく、資金計画の一部として考える必要があります。
中間申告・中間納付の基本
法人税の中間申告は、事業年度が6か月を超える法人について、一定の場合に必要となります。前事業年度の法人税額を基準に計算した金額が10万円以下である場合などには、中間申告書の提出は不要とされています。
一般的な3月決算法人を例にすると、事業年度は4月1日から翌年3月31日までです。この場合、事業年度開始から6か月を経過した9月30日を基準として、その後2か月以内、つまり11月末までに中間申告・中間納付を行うことになります。
中間申告の方法には、大きく分けて次の2つがあります。
- 前年度実績を基準とする予定申告
- 当期の上半期の実績をもとにする仮決算による中間申告
予定申告とは
予定申告とは、前事業年度の税額を基準にして、中間分の税額を計算する方法です。
前事業年度が12か月、当期の中間期間が6か月であれば、実務上は「前期の税額のおおむね半分」を納付するイメージになります。ただし、正確には単純に2分の1するのではなく、次のように計算します。
前事業年度の法人税額 ÷ 前事業年度の月数 × 当期の中間期間の月数
多くの法人では、前事業年度の月数が12か月、中間期間が6か月であるため、結果として前年税額の半分に近い金額になります。
ただし、端数処理の関係で、単純に「前年税額÷2」とした金額と一致しないことがあります。納付書や申告書を作成する際には、税務ソフトや税理士が計算した金額を確認することが重要です。
仮決算による中間申告とは
仮決算による中間申告とは、事業年度開始から6か月間を一つの事業年度とみなして、仮の決算を行い、その実績に基づいて中間申告をする方法です。
たとえば、前期は大きな利益が出たものの、当期の上半期は売上が落ち込んでいる場合、予定申告では資金負担が大きくなることがあります。このような場合には、仮決算による中間申告を検討する余地があります。
ただし、仮決算を行う場合には、通常の決算に近い形で売上、仕入、経費、棚卸、減価償却、引当金、税額計算などを整理する必要があります。そのため、手間とコストがかかります。
また、仮決算による中間申告は、期限後に提出することはできません。期限までに提出しない場合には、原則として予定申告があったものとみなされます。
地方税の中間申告にも注意
中間申告というと法人税だけを意識しがちですが、法人住民税、法人事業税、特別法人事業税などの地方税にも中間申告・中間納付があります。
法人住民税には、法人税割と均等割があります。予定申告の場合、法人税割は前事業年度の税額を基準に計算し、均等割も月数に応じて計算されます。
法人事業税や特別法人事業税についても、原則として前事業年度の税額を基準に中間納付額を計算します。
東京都などに事務所を置く法人では、法人都民税、法人事業税、特別法人事業税の中間申告が関係します。複数の都道府県や市区町村に事務所がある法人では、それぞれの自治体への申告・納付が必要になるため、特に注意が必要です。
実務上の注意点
中間申告・中間納付で特に注意したいのは、次の点です。
- 納付時期を資金繰り表に入れておく
- 前年に大きな利益が出た場合、当期の資金負担が重くなる
- 当期の業績が悪化している場合、仮決算による中間申告を検討する
- 法人税だけでなく、地方税の納付も同時期に発生する
- 消費税の中間納付がある法人では、さらに資金負担が重なる
- 納付書が届かない場合でも、申告・納付義務がなくなるわけではない
特に中小企業では、決算時の納税資金は意識していても、中間納付の資金を見落としているケースがあります。
前年の決算で大きな利益が出た場合、翌期の半期終了後にまとまった中間納付が発生します。当期の売上が順調であれば問題になりにくいですが、当期に売上が落ち込んでいる場合や、設備投資、人件費増加、借入返済が重なっている場合には、資金繰りに大きな影響が出ます。
よくある失敗例
中間申告・中間納付では、次のような失敗がよくあります。
- 前年の利益が大きかったため、想定以上の中間納付が発生した
- 納付書が届いてから慌てて資金を準備した
- 法人税だけを見ていて、地方税や消費税の中間納付を忘れていた
- 当期の業績が悪いにもかかわらず、仮決算を検討しなかった
- 仮決算を検討したが、期限直前で資料がそろわず間に合わなかった
- 複数自治体への申告が必要なのに、一部の地方税申告を見落とした
中間納付は、最終的には決算時に精算されます。払い過ぎた場合には、確定申告で納付税額から控除され、場合によっては還付になることもあります。
しかし、資金繰りの観点では、「最終的に戻るかどうか」だけでなく、「今、その資金を支払えるか」が重要です。
経営者・実務担当者が確認すべきポイント
中間申告・中間納付について、経営者や実務担当者は次の点を確認しておくとよいでしょう。
- 前期の法人税・地方税の税額はいくらだったか
- 当期の中間納付はいつ、いくら発生する見込みか
- 法人税、地方法人税、法人住民税、法人事業税、特別法人事業税を分けて把握しているか
- 消費税の中間納付も同時期に発生しないか
- 当期の上半期の業績は、前期と比べてどうか
- 業績悪化時に仮決算による中間申告を検討する時間があるか
- 納税資金を資金繰り表に反映しているか
特に、前年に一時的な利益が出た会社は注意が必要です。不動産売却、保険解約益、補助金収入、大口案件の利益などで前期の税額が大きくなった場合、翌期の中間納付も大きくなることがあります。
一方で、当期の業績が前期ほど良くない場合には、予定申告のまま納付すると資金負担が重くなることがあります。このような場合には、早めに試算を行い、仮決算による中間申告を検討することが重要です。
まとめ
法人の中間申告・中間納付は、単なる税金の前払いではありません。経営者にとっては、半期時点で会社の業績と資金繰りを確認する重要なタイミングです。
前年の税額を基準にした予定申告は、手続きとしては比較的簡便ですが、当期の業績や資金繰りを反映していない点に注意が必要です。
当期の業績が大きく悪化している場合には、仮決算による中間申告を検討することで、資金負担を抑えられる可能性があります。ただし、仮決算には期限と実務負担があるため、早めの判断が必要です。
中間納付は、決算前の資金繰りを左右する重要な支払いです。納付書が届いてから対応するのではなく、前期決算が終わった段階で、翌期の中間納付額を見込んでおくことをおすすめします。
藁総合会計事務所へのご相談
藁総合会計事務所では、東京都品川区を拠点に、中小企業の税務、会計、決算、資金繰り、法人税・地方税の申告、納税資金の確認などを支援しています。
中間申告・中間納付は、税額計算だけでなく、資金繰りや当期業績の見通しとあわせて判断することが大切です。
「中間納付の金額が大きく、資金繰りが不安」「仮決算による中間申告を検討したい」「法人税だけでなく地方税や消費税も含めて納税予定を整理したい」という場合には、早めに専門家へご相談ください。
参考資料
- 国税庁「法人税のあらましと申告の手引」
- 国税庁「法人税の中間(予定)税額の算出方法について」
- 東京都主税局「法人事業税・法人都民税」
- eLTAX 地方税ポータルシステム