法人の国税・地方税の納付方法とは?ダイレクト納付などの注意点を税理士が解説
法人の税金は、申告書を提出すれば終わりではありません。法人税、地方法人税、消費税及び地方消費税、源泉所得税、法人住民税、法人事業税、特別法人事業税などは、納期限までに正しく納付してはじめて手続きが完了します。
近年は、税務署や金融機関の窓口に行かなくても、e-TaxやeLTAXを利用して納付できる方法が増えています。特に、ダイレクト納付、インターネットバンキング、クレジットカード納付、地方税共通納税などは、法人の経理実務でも利用しやすい方法です。
藁総合会計事務所では、法人の国税・地方税の納付方法として、原則としてダイレクト納付の利用をおすすめしています。納付書を持って金融機関へ行く手間を減らし、納期限管理と資金繰り管理をしやすくするためです。
一方で、電子納税には「領収証書が発行されない」「事前登録が必要」「申告しただけでは納付完了にならない」「口座残高不足でも納期限を過ぎると延滞税の問題が生じる」といった注意点があります。
この記事では、法人を対象に、国税と地方税の主な納付方法、ダイレクト納付の手続き上の注意点、納付方法ごとの実務上のポイントを整理します。
法人が納付する主な税金
法人が納付する税金は、大きく「国税」と「地方税」に分かれます。
- 国税:法人税、地方法人税、消費税及び地方消費税、源泉所得税及び復興特別所得税、印紙税など
- 地方税:法人住民税、法人事業税、特別法人事業税、固定資産税、償却資産税、事業所税、個人住民税の特別徴収分など
法人税や消費税は国税、法人住民税や法人事業税は地方税です。また、給与を支給している会社では、従業員や役員から預かった源泉所得税や住民税特別徴収分を、会社が納付する必要があります。
特に中小企業では、決算時の法人税等だけでなく、毎月または半年ごとの源泉所得税、住民税特別徴収、消費税の中間納付などが資金繰りに影響します。納付方法を整理しておくことは、単なる事務効率化ではなく、資金管理の一部と考えるべきです。
国税の主な納付方法
国税の納付方法には、主に次のようなものがあります。
- ダイレクト納付
- インターネットバンキング等による電子納税
- クレジットカード納付
- スマホアプリ納付
- コンビニ納付
- 金融機関・税務署窓口での納付
国税の電子納税は、e-Taxを利用してインターネット経由で納付する手続きです。電子納税では、税務署や金融機関に行かずに納付できる一方、領収証書は発行されません。納付結果は、e-Taxのメッセージボックスや利用した決済サービスの履歴で確認することになります。
国税のダイレクト納付の特徴と注意点
ダイレクト納付とは、e-Taxで申告書等を送信した後、事前に届け出た法人名義の預貯金口座から、即時または指定した期日に口座引落しにより国税を納付する方法です。
法人が国税のダイレクト納付を利用する場合、事前にe-Taxの利用開始手続きを行い、納税地を所轄する税務署へ専用の届出書を提出する必要があります。利用開始までに一定の期間がかかるため、納期限直前ではなく、あらかじめ準備しておくことが重要です。
ダイレクト納付の主なメリットは次のとおりです。
- 税務署や金融機関に行かずに納付できる
- 納付手数料がかからない
- 即時納付または期日指定納付を選択できる
- 法人税、消費税、源泉所得税など幅広い国税に利用できる
- 税理士が納税者に代わって納付手続きを行うことも可能
ただし、次の点には注意が必要です。
- 利用開始には事前届出が必要で、提出後すぐに使えるとは限らない
- 利用できる金融機関かどうかを事前に確認する必要がある
- 指定できる納付日は原則として納期限までの日付
- 口座残高不足の場合、納付が完了しない
- 領収証書は発行されない
- 納付完了通知やエラー通知を必ず確認する必要がある
特に実務で多いのは、「申告データを送信したので納税も終わったと思っていた」という誤解です。申告と納付は別の手続きです。ダイレクト納付を利用する場合でも、納付手続きの実行、指定日、口座残高、完了通知の確認まで行う必要があります。
源泉所得税の納付ではダイレクト納付が有効
法人では、役員報酬や給与、士業報酬などに係る源泉所得税を納付する機会が多くあります。
源泉所得税は、原則として給与等を支払った月の翌月10日までに納付します。納期の特例の承認を受けている場合には、1月から6月分を7月10日まで、7月から12月分を翌年1月20日までに納付します。
源泉所得税は定期的に発生するため、ダイレクト納付との相性がよい税目です。給与計算後に納付税額を確認し、e-Taxで徴収高計算書を送信したうえで、ダイレクト納付を行う流れを整えておくと、納付書の管理や窓口対応の手間を減らすことができます。
ただし、7月10日や1月20日前後は、多くの法人が源泉所得税の納付を行う時期です。納期限当日に操作するのではなく、事前に金額確認、残高確認、納付予約を行う体制を整えておくことが重要です。
インターネットバンキングによる国税納付
インターネットバンキングを利用した国税納付には、e-Taxで納付情報を作成して納付する方法などがあります。金融機関のインターネットバンキングやATMを利用して、Pay-easyにより納付するイメージです。
この方法は、普段から法人のインターネットバンキングを利用している会社にとっては使いやすい方法です。一方で、金融機関側の利用時間、振込権限、ワンタイムパスワード、承認者設定などの確認が必要です。
中小企業では、経理担当者が入力し、代表者が承認する二段階の設定になっていることもあります。納期限当日に承認者が不在だと、納付が完了しない可能性があります。
クレジットカードによる国税納付
国税は、国税クレジットカードお支払サイトを通じてクレジットカードで納付することもできます。
クレジットカード納付は、夜間や休日でも手続きしやすく、資金決済のタイミングをカードの引落日に合わせられる場合があるため、資金繰り上の選択肢になることがあります。
ただし、納付税額に応じた決済手数料がかかります。また、領収証書は発行されません。
法人でクレジットカード納付を利用する場合には、次の点を確認してください。
- 決済手数料を負担しても利用するメリットがあるか
- 法人カードの利用限度額に余裕があるか
- カード利用日と引落日が資金繰りに合っているか
- 会計処理上、税金本体と決済手数料を区分して処理しているか
- 領収証書が必要な取引や証明手続きに支障がないか
ポイント付与だけを目的として選ぶのではなく、手数料、資金繰り、社内承認、証憑管理を含めて判断することが大切です。
スマホアプリ納付・コンビニ納付の注意点
国税には、スマホアプリ納付やQRコードを利用したコンビニ納付もあります。ただし、これらは納付税額が一定額以下の場合に利用する方法です。
法人税や消費税の確定申告時には納付額が大きくなることも多いため、法人の主要な納付方法というより、小口の納付や一部のケースで利用する方法と考えた方がよいでしょう。
コンビニ納付やスマホアプリ納付は便利ですが、法人の継続的な納付管理という点では、ダイレクト納付やインターネットバンキングの方が管理しやすい場合があります。
また、コンビニ納付では領収証書ではなく払込金受領証が発行される場合があります。納税証明書の発行を急ぐ場合には、納付情報の反映まで時間がかかることがあるため、注意が必要です。
金融機関・税務署窓口での納付
従来どおり、納付書を使って金融機関や税務署の窓口で納付する方法もあります。
窓口納付のメリットは、領収証書を受け取れることです。融資、入札、許認可、補助金、納税証明書の取得などで、納付の事実を早く確認したい場合には、窓口納付が有効な場面もあります。
一方で、納付書の準備、窓口へ行く時間、金融機関の営業時間、担当者の事務負担などを考えると、毎月発生する源泉所得税や住民税特別徴収分については、電子納税に移行した方が効率的な場合が多いでしょう。
地方税の主な納付方法
地方税については、eLTAXの地方税共通納税システムを利用することで、法人住民税、法人事業税、特別法人事業税、個人住民税の特別徴収分などを電子納付できます。
eLTAXの共通納税は、複数の地方公共団体へ電子納付できる仕組みです。複数の都道府県や市区町村に事業所がある法人にとっては、納付事務を大きく減らせる可能性があります。
地方税の主な納付方法には、次のようなものがあります。
- eLTAXによるダイレクト納付
- インターネットバンキングによる納付
- ATMによる納付
- クレジットカード納付
- 地方税お支払サイトを利用した納付
- 金融機関・自治体窓口での納付
地方税のダイレクト納付の特徴と注意点
地方税のダイレクト納付は、eLTAXで事前に登録した金融機関口座を指定して、地方税を直接納付する方法です。
法人住民税や法人事業税の申告データをeLTAXで送信した後、納付情報を作成し、ダイレクト方式、インターネットバンキング、クレジットカードなどの納付方法を選択して納付します。
地方税共通納税のメリットは、複数の自治体への納付をまとめて処理できる点です。事業所が複数ある法人、従業員の住民税特別徴収を複数自治体に納付している法人では、納付書ごとに金融機関へ行く手間を減らせます。
注意点は次のとおりです。
- eLTAXの利用開始手続きが必要
- ダイレクト納付を使うには口座登録が必要
- 金融機関ごとに利用できる収納方法が異なる
- 電子納付では領収証書が発行されない
- 納付先自治体、税目、事業年度、期別の入力誤りに注意が必要
- 納付後は納付済みの画面、メール、利用明細などで確認する必要がある
特に地方税は、国税に比べて納付先が複数になりやすい点が特徴です。法人住民税の都道府県分と市区町村分、法人事業税、特別法人事業税、住民税特別徴収分など、税目と納付先を取り違えないようにしましょう。
当事務所ではダイレクト納付を推奨しています
藁総合会計事務所では、法人の国税・地方税の納付方法として、原則としてダイレクト納付の利用をおすすめしています。
ダイレクト納付は、事前に登録した法人名義の預貯金口座から、国税や地方税を電子的に納付できる方法です。税務署、金融機関、自治体窓口へ出向く必要がなく、納付書の管理や窓口対応の手間を減らすことができます。
特に、源泉所得税、法人税、消費税、法人住民税、法人事業税、住民税特別徴収分など、法人で定期的に発生する税金については、ダイレクト納付を利用することで、納付事務の効率化と納付漏れ防止につながります。
また、ダイレクト納付を導入しておくと、税理士が電子申告を行った後の納付手続きも整理しやすくなります。納税額、納付予定日、引落口座、納付完了の確認を一連の流れで管理できるため、経理担当者と税理士の間で状況を共有しやすくなります。
ただし、ダイレクト納付は、申告書を送信すれば自動的に納付まで完了する制度ではありません。利用開始には事前の届出や口座登録が必要であり、納付操作、納付日、口座残高、納付完了通知の確認まで行う必要があります。
当事務所では、電子申告だけでなく、納付方法の整備、ダイレクト納付の導入、納期限管理、納税資金の確認まで含めて、法人の税務実務を支援しています。
地方税お支払サイトを利用する場合
固定資産税や自動車税など、納付書にeL-QRやeL番号が印字されている地方税については、地方税お支払サイトを利用して納付できる場合があります。
地方税お支払サイトでは、納付書のQRコードや番号を利用して、パソコンやスマートフォンから手続きできます。クレジットカード、インターネットバンキング、スマートフォン決済アプリ、ペイジー番号発行など、納付書の内容や自治体の対応状況に応じて利用方法が異なります。
ただし、eL-QRを利用した支払では領収証書が発行されません。支払実績は、スマートフォン決済アプリ、クレジットカードの利用明細、登録メールアドレスに届く完了通知などで確認することになります。
法人で利用する場合には、誰が納付操作を行い、どの資料を証憑として保存するのかを社内で決めておくことが重要です。
法人の納付方法ごとの使い分け
法人実務では、納付方法を一つに固定するのではなく、税目や金額、証憑の必要性に応じて使い分けることが現実的です。
- 法人税・消費税の確定納付:ダイレクト納付、インターネットバンキング、窓口納付
- 源泉所得税:e-Taxによる徴収高計算書送信とダイレクト納付
- 法人住民税・法人事業税:eLTAX共通納税
- 住民税特別徴収:eLTAX共通納税、インターネットバンキング
- 固定資産税・自動車税:地方税お支払サイト、口座振替、窓口納付
- 領収証書が必要な場合:金融機関または税務署・自治体窓口での納付
中小企業では、決算時の税額だけでなく、毎月の源泉所得税、住民税特別徴収、消費税の中間納付が資金繰りに影響します。納付方法を整えることは、経理の効率化だけでなく、納税資金の見える化にもつながります。
よくある失敗例
法人の納付実務では、次のような失敗がよくあります。
- 申告書を電子送信しただけで、納付も完了したと思っていた
- ダイレクト納付の届出をしておらず、納期限直前に利用できなかった
- 納付予約をしたが、口座残高不足で引落しできなかった
- 納付完了通知やエラー通知を確認していなかった
- 地方税で納付先自治体や税目を間違えた
- クレジットカード納付の手数料を考慮していなかった
- 領収証書が必要なのに、電子納税を選んでしまった
- 納税証明書がすぐ必要なのに、反映に時間がかかる納付方法を選んだ
電子納税は便利ですが、「手続きの見える化」が弱くなりやすい面があります。紙の領収証書が残らないため、納付後の確認画面、完了通知、会計ソフトへの記録、社内チェックリストを整備することが大切です。
経営者・経理担当者が確認すべきポイント
法人で納付方法を整備する際には、次の点を確認してください。
- 国税と地方税で利用するシステムを分けて理解しているか
- e-Tax、eLTAXの利用者ID、電子証明書、暗証番号等を管理しているか
- ダイレクト納付の届出・口座登録が完了しているか
- 納付権限を持つ担当者と承認者が明確か
- 納期限の管理表を作成しているか
- 納付予定額と口座残高を事前に確認しているか
- 納付完了通知・エラー通知を確認する担当者が決まっているか
- 領収証書が必要な税金と、電子納税でよい税金を分けているか
- 税理士に依頼する範囲と、会社側で確認する範囲を明確にしているか
税理士が電子申告や納付手続きをサポートする場合でも、最終的な納税資金の準備、口座残高の確認、納付完了の確認は会社側でも把握しておく必要があります。
まとめ
法人の納付方法は、国税ではe-Tax、地方税ではeLTAXを中心に、キャッシュレス化・電子化が進んでいます。ダイレクト納付を活用すれば、税務署や金融機関に行く手間を減らし、納付事務を効率化できます。
藁総合会計事務所では、法人の国税・地方税の納付方法として、原則としてダイレクト納付の利用をおすすめしています。特に、源泉所得税、法人税、消費税、法人住民税、法人事業税、住民税特別徴収分など、継続的に発生する税金については、納付方法を整えておくことが重要です。
一方で、電子納税は「申告しただけでは納付完了ではない」「領収証書が発行されない」「事前登録が必要」「残高不足や操作ミスに注意が必要」という点を理解しておく必要があります。
法人の納税は、単なる経理事務ではなく、資金繰り管理の一部です。納期限の直前に慌てるのではなく、決算予測、納税予測、納付方法、口座残高をセットで管理することが重要です。
藁総合会計事務所へのご相談
藁総合会計事務所では、東京都品川区の税理士事務所として、中小企業の税務、会計、決算、資金繰り、法人税・消費税申告、源泉所得税、地方税、電子申告・電子納税の運用支援を行っています。
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