【都心不動産の売却益】6,000万円→9,700万円のケースで考える確定申告の落とし穴
こんにちは。品川区の税理士 藁です。
ここ数年、東京の不動産市況は大きく上昇し、
「買ったときよりも高く売れた」というご相談が非常に増えています。
実際に、
- 購入:6,000万円
- 売却:9,700万円
というケースも珍しくありません。
一見すると「3,700万円の利益」と見えますが、
このまま確定申告すると損をする可能性があります。
今回は、居住用不動産の売却益と確定申告の留意点を、実務ベースで解説します。
■ 1.東京の不動産市況(前提理解)
現在の東京の不動産市場は、
- 都心部を中心に大幅上昇
- 特にマンションは10年で1.5倍〜2倍
- 供給不足とインフレで高止まり
という状況です。
つまり今回のような「6,000万円 → 9,700万円」は、
例外ではなく“典型例”になりつつあります。
■ 2.まず理解すべき「本当の利益」
不動産の利益は、単純な差額ではありません。
譲渡所得の計算は以下の通りです。
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費+譲渡費用)
取得費には、購入価格だけでなく、
- 購入時の諸費用
- 減価償却(建物部分)
が含まれます。
👉 特に注意すべきは
減価償却により「取得費が下がる」=課税が増える
点です。
つまり、
思っているより利益が大きくなるケースが多い
■ 3.最大のポイント「3,000万円特別控除」
居住用不動産の場合、最も重要なのがこの制度です。
👉 譲渡所得から最大3,000万円控除
(いわゆるマイホーム特例)
これは、所有期間に関係なく適用可能です。
つまり今回のケースでは、
- 利益:仮に3,000万円程度
- 控除:▲3,000万円
👉 課税所得ゼロ → 税金ゼロ
という可能性が十分あります。
■ 4.ただし「自動では適用されない」
ここが非常に重要です。
確定申告をしないと、この特例は使えません。
- 申告しない → 税金が発生する可能性
- 申告する → 税金ゼロの可能性
■ 5.適用できない典型パターン
① 親族間売買
配偶者・子などへの売却は対象外です。
② 投資用・セカンドハウス
「居住用」でなければ適用不可。
③ 3年以内の再適用
この特例は3年に1回しか使えません。
④ 住まなくなってから3年以上経過
期限を超えると適用不可です。
■ 6.10年以上保有なら「さらに有利」
今回のケース(10年保有)では、
👉 軽減税率(約14%)の適用
が可能です。
さらに
- 3,000万円控除
- 軽減税率
は併用可能です。
■ 7.税理士としての実務判断
今回のようなケースでは、
- 取得費の精査(減価償却含む)
- 3,000万円控除の適用可否
- 軽減税率の適用判定
この3点で税額が大きく変わります。
👉 同じ案件でも
- 税額 0円
- 税額 500万円超
という差が出ることもあります。
■ まとめ
東京の不動産市況により、売却益が出るケースは増えていますが、
「利益が出た=税金がかかる」とは限りません。
むしろ、
正しく申告すれば税金がゼロになるケースが非常に多い
のが、居住用不動産の特徴です。
一方で、
申告ミス=数百万円の損失
につながる分野でもあります。
不動産売却時は、必ず専門家にご相談ください。
藁総合会計事務所では、
不動産売却時の税務判断・確定申告のサポートを行っています。
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