確定申告は「書類をまとめて提出する作業」ではなく、1年分の取引を整理し、数字の整合性と税務リスクを同時に点検する“経営の棚卸し”です。 直前で慌てないために、申告前にやるべきことを「3つの整頓」に分けて整理します。
申告期限(目安)
- 所得税・贈与税:令和8年3月16日(月)まで
- 個人事業者の消費税等:令和8年3月31日(火)まで
※期限は年により変動することがあります。最新情報は国税庁の案内をご確認ください。 国税庁:確定申告特集
整頓①「証憑(しょうひょう)の整頓」:集める→分ける→不足を埋める
最初に整えるべきは、取引の根拠資料です。ここが曖昧だと、帳簿も申告書も最後に崩れます。 領収書・請求書・通帳明細・カード明細を「月別」に揃えるだけでも、全体のスピードが大きく変わります。
やること(最短ルート)
- 入口を固定:銀行口座/クレカ/決済サービスをできるだけ絞る
- 月別に分ける:1〜12月のフォルダ(紙/データ)を用意
- 未回収・未払を拾う:売上請求書、仕入・外注請求書の漏れを確認
- 迷いは保留箱へ:「これは経費?」を一か所に集め、最後にまとめて判断
よくある落とし穴
- 明細にあるのに領収書がなく、計上が漏れる/内容が説明できない
- 私的支出が混ざり、後から家事按分が崩れる(通信費・車・交際費など)
整頓②「帳簿・数字の整頓」:残高が合えば、申告は速い
次は「帳簿の数字が現実と合っているか」を確認します。ここが合うと、確定申告は“作業”になります。
最低限チェックしたい5点
- 現預金:通帳残高・現金と帳簿残高が一致しているか
- 売掛金・買掛金:請求済み未入金/支払予定が正しく残っているか
- 棚卸(在庫):年末時点の在庫を反映できているか(飲食・物販は特に重要)
- 固定資産:10万円超の備品・PC・内装など、減価償却対象の漏れがないか
- 家事按分:自宅兼事務所・通信費・車両費など、根拠ある割合になっているか
「売上は合っているのに利益が変」という場合、棚卸・固定資産・外注費(計上時期)あたりが原因になりやすいです。
整頓③「申告・納税の整頓」:方法を決め、資金繰りを先に押さえる
最後は、提出の段取りと納税資金の確保です。直前で詰まる原因は、ここに集まりがちです。
やること
- 提出方法を決める:e-Tax/税務署提出/郵送(どれで出すかを先に固定)
- 消費税の該当者は早めに確認:課税・免税、計算方法の検討(影響が大きい)
- 納税見込みを先に置く:利益=現金ではありません(売掛・借入返済・設備投資で資金は減ります)
申告前チェックリスト(経営者向け)
- 領収書・請求書・明細が月別に揃っている
- 現預金残高が帳簿と一致している
- 売掛/買掛(未収・未払)が正しく残っている
- 在庫(棚卸)を反映している(該当業種)
- 固定資産の計上・減価償却の漏れがない
- 家事按分の根拠(割合)が説明できる
- 提出方法(e-Tax等)と納税資金の手当てができている
まとめ:3つの整頓ができれば、申告はラクになります
- 証憑の整頓:集める・分ける・不足を埋める
- 帳簿の整頓:残高と実態を一致させる
- 申告・納税の整頓:段取りと資金繰りを先に決める
期限が近づくほど確認・修正に時間がかかります。まずは「証憑の月別整理」だけでも着手しておくと、申告が一気に進みます。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別事情により取扱いが異なる場合がありますので、必要に応じて専門家へご相談ください。