「税理士に頼むほどではない気がする。でも、もし間違えたら怖い」
この“モヤモヤ”は、多くの経営者・個人事業主が一度は通る悩みです。
税務は、やろうと思えば自分でもできます。ですが、**“自分でやるコスト(時間・ストレス・ミスのリスク)”と、“外注するコスト(報酬)”**を天秤にかけると、あるタイミングから一気に外注が合理的になります。
この記事では、**「税務の外注ライン」**を、判断しやすい形で整理します。
1. まず結論:外注すべき判断軸は3つ
外注ラインは、次の3要素で決まります。
複雑さ:論点が増えるほど、判断ミスが起きやすい
時間:申告作業が本業を削るなら、すでに見えない損が出ている
リスク:税務は「間違えたらやり直し+追徴+延滞」になりやすい
つまり、**「複雑・忙しい・怖い」**が揃ってきたら、外注が有利です。
2. 自分で申告が“向いている”ケース
以下に当てはまるほど、まずは自力でやり切れる可能性が高いです。
取引がシンプル(売上の種類が少ない、経費も固定的)
レシート・請求書の整理が習慣化している
会計ソフトに毎月入力できている(期末にまとめてやらない)
消費税・源泉・給与など、周辺論点が少ない
「節税」よりもまず「正確に期限内」が最優先でよい
ポイント:自分で申告するなら、勝ち筋は「毎月の処理を溜めない」ことです。
期末に一気にやるほど、ミスとストレスが増えます。
3. 税理士に依頼した方が“得になりやすい”ケース(外注ライン)
次のどれかが出てきたら、外注検討のサインです。
A. 売上・経費の構造が複雑になった
取引先が増えた/外注費や広告費が増えた
現金・カード・振込など、入金経路が複数
仕入や在庫、原価管理が絡む
役員報酬・社宅・出張旅費など「判断が必要な経費」が増えた
B. 人が増えた(=税務の論点が一気に増える)
社員・アルバイトを雇った
源泉所得税の計算・納付、年末調整が発生
社会保険・労働保険も絡む
C. 消費税・インボイスが絡む
課税事業者になった/なりそう
簡易課税・2割特例など、選択判断が必要
取引先からインボイス対応を求められている
D. “将来の大きいお金”が動く
法人化を検討している
融資・補助金・資金繰りを見える化したい
設備投資・車・不動産など高額購入がある
事業承継・相続が視野に入ってきた
E. 何より「不安が取れない」
申告前になると毎年、胃が痛い
「これ経費でいいの?」が増えている
税務署からの連絡が怖い
本業が忙しく、期限がプレッシャー
税務は、不安を抱えたまま進むほど判断がブレます。
この段階では、外注は“コスト”というより安心を買う投資になりやすいです。
4. 10問チェック:あなたの外注ライン判定(簡易スコア)
次の質問で「はい」を数えてみてください。
申告作業が毎年ギリギリになる
会計入力を期末にまとめがち
経費判断に迷う項目が増えた
取引が増え、入出金の突合が大変
給与・外注・源泉が絡む
消費税の計算や制度選択が必要
高額な購入(車・設備・不動産)がある
融資や資金繰りの相談をしたい
税務調査や指摘が怖い
本業の時間が足りない
0〜2個:自力でも十分可能(ただし早めの着手が条件)
3〜5個:部分外注が向く(チェックだけ、申告だけ等)
6個以上:外注の費用対効果が出やすい(本格的に依頼検討)
5. 外注にも“段階”がある:おすすめ3パターン
「丸投げ」だけが外注ではありません。現実的にはこの3段階が選ばれます。
① 申告前チェック(セカンドオピニオン)
自分で入力・集計はする
税理士に「論点確認」「最終レビュー」「リスク指摘」を依頼
→ コストを抑えつつ、ミスと不安を潰せる
② 決算・申告だけ依頼(年1回型)
月次は社内で進め、期末に税理士が決算・申告を仕上げる
→ 申告品質を確保しつつ、運用負担も軽い
③ 記帳〜申告〜相談まで(顧問型)
日々の処理、月次の数字、税金予測、投資判断まで一体で管理
→ 忙しい経営者ほど“本業に集中できる価値”が大きい
6. 「費用がもったいない?」外注コストの考え方
外注費を“高い”と感じるとき、比較対象が「お金」だけになりがちです。
実際は、次も一緒に比較するのが現実的です。
社長(または担当者)の作業時間
ミス→修正→追加納税のリスク
判断を先送りして機会損失(投資・融資・資金繰り)
精神的な負担(毎年のプレッシャー)
税務は、いちど崩れると「立て直し」に余計なコストがかかります。
だからこそ、外注ラインは**“問題が起きる前”**に来るのが理想です。
7. まとめ:外注ラインは「複雑さ×時間×不安」で決める
自分でできる範囲はある(特にシンプルな取引なら可能)
ただし、人・消費税・高額取引・将来の意思決定が絡むと一気に難しくなる
外注は「丸投げ」ではなく、段階的な外注ができる
もし今、
「自分でやるのはできそうだけど、毎年しんどい」
「本業に集中したい」
「判断に迷うことが増えてきた」
という状態なら、外注ラインに差しかかっています。