「青色申告って個人事業主の話でしょ?」──と思われがちですが、法人でも“青色申告”はあります。実務上は、法人こそ青色申告の有無で“使える制度”が大きく変わる場面が少なくありません。
本記事では、法人の視点で「白色(=青色承認なし)との違い」と「青色申告のメリット」、そして申請期限の落とし穴まで、要点だけを整理します。
1. 法人の「青色申告」と「白色申告(相当)」の違い
法人の青色申告は、税務署へ「青色申告の承認申請」を行い、承認を受けたうえで、要件を満たす帳簿を備え付けて申告する制度です。申請をしていない・承認がない場合は、一般に「白色(相当)」として扱われ、欠損金(赤字)の繰越など、使えない制度が出てきます。
2. 法人の青色申告で得られる主なメリット
メリット① 欠損金(赤字)を“10年間”繰り越して相殺できる
青色申告書を提出した事業年度で生じた欠損金は、一定の要件のもと、最長10年間、将来の黒字と相殺できます。創業期や投資期の企業ほど効果が大きい制度です。
メリット② 赤字を前年に“繰り戻して還付”できる(中小企業者等が中心)
青色申告書を提出する法人は、欠損金を「欠損事業年度開始の日前1年以内に開始した事業年度」へ繰り戻して、法人税の還付を請求できる制度があります。適用要件(連続青色・期限内申告・請求書提出など)に注意が必要です。
メリット③ 30万円未満の資産を“買った年に一括損金”にできる(中小企業者等)
中小企業者等が、取得価額30万円未満の減価償却資産を一定期間内に取得して事業に使った場合、要件のもと取得価額をその年の損金にできます(年合計300万円が上限など)。
メリット④ 設備投資の“特別償却・税額控除”など各種優遇が使いやすくなる
中小企業向けの投資促進税制や経営強化税制など、いわゆる“税制優遇”は、適用要件として青色申告が前提となるものが多いです。投資後に「使えなかった…」を防ぐ意味でも、青色は入口になりやすいポイントです。
メリット⑤ 経理が整い、融資・資金繰りの意思決定が速くなる
青色申告の前提である記帳・月次管理が整うと、月次の試算表が早く出る/利益・資金繰りの見通しが立つ/金融機関や取引先への説明がスムーズ、など実務面の効果が出やすくなります。
3. 【要注意】青色申告の申請期限
- 設立済みの法人:原則「適用したい事業年度の開始日の前日まで」
- 新設法人(第1期から青色):「設立日から3か月経過日」または「第1期事業年度終了日」いずれか早い日の“前日まで”
4. 青色申告の“要件”は難しい?(最低限ここだけ)
法人は、帳簿を備え付けて取引を記録し、帳簿・書類を原則7年間保存する必要があります。青色申告で欠損金が生じた場合などは、保存期間が10年になるケースもあります。
5. よくある質問
Q. 「青色申告特別控除(55万円・65万円)」は法人でも使える?
A. これは所得税(個人)の制度で、法人税には同じ形の特別控除はありません。法人の青色メリットは、欠損金の繰越・繰戻し、投資関連の特例などが中心です。
まとめ
法人の青色申告は、単なる節税テクニックではなく、赤字・投資・資金繰りの局面で効く「経営の保険」になりやすい制度です。特に新設法人は申請期限が短いので、設立時からチェックしておきましょう。