メインコンテンツに移動

国税庁「無申告・金地金譲渡」事例から学ぶ、確定申告前の注意点(支払調書も解説)

確定申告の時期になると、「相続で受け取った金(インゴット)を換金しただけ」「お金を動かさなければ分からないと思った」というご相談が増えます。
しかし、金地金の売却益は(原則)所得税の課税対象です。

今回は、国税庁が公表した「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」に掲載された 事例4(無申告・金地金譲渡事案) をもとに、一般の納税者の方へ注意喚起としてポイントを整理します。


1. 国税庁の事例4:何が起きたのか(無申告・金地金譲渡)

国税庁資料の事例4は、次のような内容です。

  • **相続で取得した金地金を売却(譲渡)**していたのに、所得税の申告がなかったため調査

  • 着手後、売却代金が銀行口座に入金され、さらに大半が現金出金や親族への送金で口座から支出されていることを把握

  • 本人は「申告が必要」と認識しつつ、親族口座への振込等で口座残高を減らせば税務署に分からないと考え、関与税理士にも譲渡事実を秘匿して確定申告をしていなかった

  • 結果:申告漏れ所得 約1,300万円/追徴税額(加算税込)約400万円、重加算税あり

ポイントは、「申告していない」だけでなく、“分からないはず”という発想で資金移動や秘匿があると、重いペナルティにつながりやすいという点です。


2. ここが落とし穴:金地金は「支払調書」で把握されやすい

金地金の売却には、一般的な不動産・株式とは別に、**「金地金等の譲渡の対価の支払調書」**という制度があります。

支払調書とは(ざっくり)

国内で金地金等の売買を業として行う者(買取業者等)が、一定の取引について税務署へ提出する法定調書です。手続対象者や提出時期(支払確定日の翌月…)が示されています。

また、制度の導入趣旨として、200万円超の対価を支払う取引で支払調書提出が義務付けられた旨が国税当局側の公表資料でも言及されています。

売る側(納税者)も、情報提供が必要になる

所得税法上、一定の金地金等の譲渡では、支払を受ける側が 氏名・住所・個人番号(マイナンバー)等を支払者(買取業者)へ告知し、支払者は確認する仕組みになっています。

実際の「支払調書」の様式上も、住所(居所)・個人番号、金地金等の種類、重量、支払金額、支払確定年月日などの記載項目が明示されています。

つまり、「税務署に分からない」は通用しにくい分野です。
今回の事例4でも、国税は部内資料や口座入金などの資料情報から把握して調査しています。


3. そもそも:金地金を売ると、どんな所得になる?

一般の方が保有していた金地金を売却して利益が出た場合、原則として **譲渡所得(総合課税)**として扱われます。

国税庁(タックスアンサー)では、金地金の譲渡益について、

  • 譲渡価額 −(取得費+譲渡費用)=譲渡益

  • **特別控除(年50万円)**の考え方

  • 所有期間が5年超の場合は、一定の計算で課税対象が1/2
    といった計算の骨格を示しています。

※なお、反復継続して売買しているなど「事業性」がある場合は、所得区分が変わることがあります(個別判断)。


4. 確定申告前にやっておきたい“3つの確認”

金地金を売却した(または売却予定)方は、最低限ここを確認してください。

  1. 今年、金地金を売ったか(相続分も含む)

  • 売却日、売却先、売却金額、手数料(売却伝票)

  1. 取得費の根拠が出せるか

  • 購入時の明細、相続関係資料(相続税申告書控、遺産分割協議書など)
    取得費が不明だと計算が難しくなり、結果的に不利になりやすいケースがあります。

  1. 税理士に依頼している方ほど“事実を全部伝える”
    今回の事例4は、関与税理士に譲渡事実を秘匿して無申告になっています。 
    申告書は「聞いていない事実」は反映できません。結果として追徴・加算税が重くなり得ます。


まとめ:金地金の売却は「申告が必要かも」で必ず立ち止まる

国税庁の事例4が示す通り、金地金の売却を「見つからないはず」と考えて無申告にすると、追徴+重加算税といった重い結果につながり得ます。 
加えて金地金は、**支払調書制度(200万円超等)**により取引情報が税務署へ提出される仕組みがあるため、軽く考えるのは危険です。

  • 相続した金地金を売った

  • 申告が必要か判断がつかない

  • 取得費の資料が見当たらない

  • すでに売却してしまい不安

こうした場合は、確定申告の期限が迫る前に、早めに専門家へご相談ください。