経営数字と向き合う年末、税理士からのメッセージ
年末が近づくと、経営者の皆さまから
「今年は本当にあっという間だった」
「忙しくて、数字をゆっくり見る時間がなかった」
という声をよく耳にします。
ですが実は、年末こそが、経営数字と最も冷静に向き合えるタイミングです。
今日は税理士の立場から、年末にこそお伝えしたいメッセージをお届けします。
年末は「反省会」ではなく「作戦会議」
試算表や損益計算書を見ると、
・売上が思ったより伸びなかった
・経費が増えて利益が残らなかった
といった点が目につくかもしれません。
ただ、ここで大切なのは
「良かった・悪かった」を評価することではなく、
「なぜそうなったのか」を考えることです。
数字は、経営者の判断や行動の“結果”を静かに映し出しています。
責めるためのものではなく、次の一手を考えるための材料です。
見てほしいのは「税金」より「構造」
年末になると、どうしても
「税金はいくらになりそうか」
「何か節税できることはあるか」
に目が向きがちです。
もちろんそれも重要ですが、もう一歩踏み込んで
・どの商品・サービスが利益を生んでいるか
・固定費と変動費のバランスは適切か
・人件費は将来の成長につながっているか
といった経営の構造を見てみてください。
税金は結果です。
構造を整えることで、結果として税負担も安定していきます。
「数字を見る習慣」が、来年の安心をつくる
年末に一度しっかり数字と向き合うと、
翌年からの見え方が変わります。
・月次試算表を以前より丁寧に見るようになる
・売上や利益のブレに早く気づける
・意思決定に迷いが減る
これは特別な経営理論ではなく、
数字と対話する習慣がもたらす効果です。
税理士は「数字を説明する人」ではありません
私たち税理士は、
単に数字をまとめたり、税金を計算したりする存在ではありません。
数字の背景を一緒に考え、
「この会社はどこに向かっているのか」
「来年、何を大切にすべきか」
を経営者と並んで考えるパートナーでありたいと思っています。
年末は、その対話を始める絶好の機会です。
最後に:忙しい年末だからこそ、少し立ち止まって
慌ただしい年末だからこそ、
30分でも、1時間でも構いません。
・今年の数字を眺める
・「来年は何を良くしたいか」を言葉にする
それだけで、来年のスタートは確実に変わります。
経営数字は、経営者を裏切りません。
正面から向き合えば、必ずヒントを与えてくれます。
今年も一年、本当にお疲れさまでした。
年末のひとときが、来年への前向きな一歩になりますように。