決算が近づくと「やることが多すぎて手が回らない…」となりがちです。
でも実は、“今からでも間に合う”対策はたくさんあります。
大切なのは「無理に利益を減らす」ことではありません。
ルールの範囲で、①計上漏れをなくす(本来引ける経費をきちんと引く)②タイミングを整える(前倒し・後ろ倒しの判断)③手続きが必要な制度を締切までに整える――この3つを押さえるだけで、結果が変わります。
まずはここから:節税の前に“決算精度”を上げる
節税策よりも先に、決算の土台を整えると効果が出やすくなります。
「決算当日にまとめて」だと対策が打てません。まずは現状の利益見込み(着地)を出すのが第一歩です。
- 月次試算表は最新ですか?(最低でも前月まで)
- 売上・仕入・外注の締めは終わっていますか?
- 通帳・カード・請求書・領収書が揃っていますか?
- 期末の在庫(棚卸)を把握していますか?
- 役員報酬・人件費の着地見込みを出していますか?
- 今年特有のイベント(大きな投資・採用・退職・値上げ・補助金など)を把握していますか?
【決算前】早めの節税チェックリスト(印刷して使える版)
1)計上漏れを防ぐ(ここが一番“効く”)
- 未払費用(締日後に請求が来るもの)を見落としていない
例:外注費、地代家賃、通信費、顧問料、リース料、消耗品、広告費 など - 前払費用の処理は適切(年払い保険・保守料・サブスク等)
- 未収入金・売掛金の計上漏れがない(入金基準になっていない)
- 立替金・仮払金が放置されていない(経費に落とせるものが残っていない)
- 期末棚卸(在庫)を把握している(原価と利益がズレやすい)
ポイント:「本当は経費なのに、資料がなくて落とせない」が決算あるあるです。期末ギリギリほど回収不能になります。
2)“買うなら今?”少額資産・消耗品の確認
- 事務機器・備品・PC周辺機器など、必要なものの購入予定はある
- 少額の備品は経費処理の選択肢(社内ルール・金額基準・要件の確認)
- 「買っただけ」ではなく事業で使用開始している(重要)
注意:「決算前に買って、箱のまま」は否認リスクが上がります。使い始めた日・設置状況・業務利用の根拠を残しましょう。
3)修繕費か?資産計上か?(判断ミスが多い)
- 修理・メンテナンス・原状回復の支出がある
- それが「修繕費」なのか「資本的支出(資産計上)」なのか整理した
- 見積書・契約書・工事内容が説明できる状態にした
ポイント:同じ工事でも内容と目的で扱いが変わります。金額が大きいほど、先に税理士へ相談するのが安全です。
4)減価償却 “計上していない=損金にならない”に注意
- 固定資産台帳が最新(今年買った資産が載っている)
- 償却資産の計上漏れがない(特にPC、設備、内装、車両など)
- 償却方法・耐用年数が妥当(自己流になっていない)
ポイント:「償却はあとでいいや」と未計上のままだと、損金算入できないケースがあります。決算前に台帳を整えるだけで結果が変わります。
5)決算賞与・未払賞与(条件と証拠が命)
- 従業員への決算賞与を検討している
- 支給対象者・算定基準・支給日を決め、社内手続(決裁)を残せる
- 要件(通知・支給時期・資金繰り等)を満たせる見込みがある
注意:決算賞与は有効な一方、要件を外すと認められないことがあります。“決め方”と“証拠”がポイントです。
6)役員報酬・役員賞与は「触る前に」確認
- 役員報酬を期中で変更していない(または変更理由を説明できる)
- 役員賞与を検討している場合、必要手続きの有無を確認した
- 「社長の個人的支出」が混ざっていない(交際費・旅費・私用カード等)
ポイント:役員給与は、節税どころか逆に税負担が増える落とし穴が多い分野です。ここは必ず事前相談推奨です。
7)貸倒・回収不能の整理(“放置”が一番もったいない)
- 回収が難しい売掛金・貸付金がある
- 督促の履歴、相手先状況(倒産・連絡不能等)の記録がある
- 貸倒処理や引当の検討をした
ポイント:「回収できない気がする」だけでは損金にならないことが多いです。事実と証拠を積み上げるのが近道です。
8)交際費・会議費・旅費交通費の“証拠”を整える
- 飲食・接待のレシートに「誰と・何の目的」を残している
- 会議費の基準が社内で統一されている
- 出張旅費規程がある/日当の運用が合理的
- 私的な支出が混ざっていない
ポイント:税務調査で見られやすいのは金額よりも「説明可能性」です。レシートの裏メモ、Excelの記録だけでも大きな差になります。
9)税額控除・特例(“届出期限”が命)
- 賃上げ・投資・研究開発など、該当しそうな動きがある
- 適用のための書類・要件・期限を確認した
- 「決算後に考える」になっていない(手続きが間に合わないことがある)
ポイント:税額控除は利益が出ている会社ほど効きます。ただし、制度によっては事前の計画・届出が必要です。
10)消費税の着地確認(選択肢と締切の確認)
- 課税売上高の見込みを把握した
- インボイス対応の運用が整理できている
- 原則・簡易・特例など、採用方式の検討が必要か確認した
- 申告・納税資金の見通しを立てた
ポイント:消費税は、利益より先に資金繰りへ効いてきます。決算月が近いほど、早めの着地確認が安心です。
“いつやる?”決算前のおすすめスケジュール
- 決算2〜3か月前:利益の着地見込み/大きな支出・投資の検討/税額控除の適否確認
- 決算1か月前:未払・前払・棚卸・固定資産台帳の整備/決算賞与の判断
- 決算直前〜直後:証憑の最終回収/残高確認/申告に必要な資料の整備
まとめ:節税は「早めのチェック」が最大の武器
決算対策は、ギリギリになるほど選択肢が減ります。逆に言えば、“あと1か月早い”だけで打てる手が増えるのが決算準備です。
- 計上漏れをなくす
- タイミングを整える
- 届出や要件がある制度は先に動く
ぜひ今週から着手してみてください。
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